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テーマ:短編小説を書こう!(490)
カテゴリ:Hannaの創作
ちょっと忙しくしているうちに前回連載から日がたって、梅雨があけてしまいました。でも昨今のゲリラ豪雨などを思うと、やっぱりこの季節のお話でOKかなと思います。
ともあれ、ようやく今日で完結です。 * * * おばけ雨雲アマグモン(3) ぴゅーっ! そのとき、下の方から、ほそい、青いロープがとんできました。 「たえちゃん、ママよ!」 ロープの上を、サーカスの人よりじょうずに、ママがつなわたりをしてきました。 ママは白いエプロンをひらひらさせながら、アマグモンの前へくると、 「いいかげんにしなさい!!」 と、すごい声でどなりつけました。 「なんだとお! 雨雲にしずめてやるぞお。」 「できるもんですかっ!」 ママは、ぐんと両うでをのばして、たえちゃんをひっぱりあげました。 「ママ!」 と、たえちゃんは、ロープにしがみつきます。それを見とどけると、ママはアマグモンに、むきなおりました。 「どうしてこんなに、よごしたの!」 はっ、とアマグモンは、どろどろ、ぶくぶくのからだを四角にしたようです。 「だってっ! こんなはい色のところしか、すむばしょがないんだもの!」 たえちゃんは、あれえ? とおもいました。 ママは、すこしやさしい声になって、 「だめねえ。こんなにひろいお空を、あなた、じぶんでよごしちゃったんでしょう。それに、まず、かおや手をきれいにしないとね。」 アマグモンはきゅうに元気なくしぼんで、どろどろの手でかおをかくしました。 そこで、ママはロープの上にぴーんと立つと、声をはりあげました。 「せんたく、はじめえ!!」 すると、まあ! そこらじゅうのはい色どろどろが、ぶおーっと、まわりだしたのです。 「せっけん、ようい、どん!」 ママがどなると、パララ! 雪のようなこながふってきて、ぷくぷく、あわだちます。 「な、なにをするんじゃーあ」 と、アマグモンは、なさけない声を出しました。あわあわの、半分ちぎれたひげをなびかせて、大うずまきの中、ぐるぐるまわっています。 「たすけて、うおーおーいいぃぃぃ。」 声といっしょに、アマグモンはきゅーっとちぢんで、ぷつぷつ、サワサワ、まっ白なあわにうもれてしまいました。 たえちゃんは、すこし心配になりました。 「ママ、アマグモン、だいじょうぶ?」 ママはにっこりして、号令をかけました。 「すすぎ、はじめえ!」 しゅーっとあわが下へしずんできえ、かわりに、とうめいな風がさーっとながれこみました。あたりはみるみる青く、あかるくなっていきます。青空です。それに、白い雲。 アマグモンは、どこへ行っちゃったのかな。 ママがさいごの号令をかけました。 「だっすい!」 すると、青空はくるくるまわり、白い雲が一つ、ふわっととんできました。おや、それはまっ白、ぴかぴかになったアマグモンです。 ママは、エプロンのポケットからせんたくばさみを出すと、しゃかしゃか、ぴん! アマグモンをロープにつるしてしまいました。 と、おもったら、それはまっ白なパパのシャツになっていました。 なあんだ! たえちゃんは、ほっとしてわらいました。 「さあ、おかいものに行きましょう。」 たえちゃんはママと手をつないで、ロープからぽんととびおりました。そこは、すっかりはれたベランダ。アマグモン、いえ、パパのシャツは、ぴかぴか光っていました。 お日さま出れば アマグモン とってもいい子で まっ白よ お空でゆれる パパのシャツ たえちゃんは、うたいながらでかけました。 おわり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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