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カテゴリ:近ごろのファンタジー
少年たちの大逆転のアメリカン・ドリーム物語『穴 HOLES』の続編
『道 ROAD』を、娘が図書館から借りてきました。 続きの物語か? と思ったら、現題は「Stanley Yelnats' Survuval Guide To Camp Greenlake」(スタンリー・イェルナッツのグリーンレイク・キャンプ・サバイバルガイド)というのでした。 余談ですが、小学生に人気の科学マンガに「○○世界のサバイバル」というシリーズがあります。「道」もちょっとそんな感じで、読者に呼びかける文体や、間にはさまれた「サバイバル・テスト」なんかが、いかにも小学生目線です。 といっても、お説教くさいいい子の呼びかけではなく、人生の本音と皮肉に満ちています。 この本を手にしてくれているきみたちは、なにかやらかして、グリーン・レイク・キャンプだかどこだかの矯正施設にぶちこまれるところなのかもしれないね。 (中略)だれも、きみのことなどかまっちゃいない。きみのためなぞ思っちゃいない。 ――ルイス・サッカー『道』幸田敦子訳 こんな調子で、無実の罪で施設に収容された『穴』の主人公が、毎日、過酷で理不尽な重労働を強いられた体験から得た処世術を語るのです。 ところで、読み進むうち、矯正施設にぶちこまれるなんて、一般の大多数の子どもにはそれほど関係ない、主人公は運が悪かったんだ、とは、言えなくなってきます。 金儲けというおとなの勝手な都合にふりまわされる子どもたち。 プライバシーや希望のほとんどない環境での共同生活。 朝から晩まで無意味な作業の繰り返し。 「ガラガラ蛇よりたちの悪い」校長、高圧的な指導員、にこにこしながらじつは腹黒い指導員・・・ どこかの教育現場と、似ていないでしょうか。 そういう過酷で理不尽な現実にいかに耐えて生き延びるか、を、スタンレーは率直に語ります。 よけいなことは言わないこと、自分の頭を使って決断すること、他人のプライバシーに踏み込まないこと、自分が何者かを忘れないこと、などなど。 さらに、主人公は命を守るため、常に気を配って、危険からすばやく逃げることを何度も繰り返します。グリーン・レイク・キャンプはアメリカの砂漠の真ん中にあるので、毒トカゲやガラガラ蛇やサソリなどが普通に出没するのです。 これも、絵空事ではすまない気がします。今も昔も、ニュースで子どもをめぐる恐ろしい事件の絶えることはありません。グリーン・レイクでなくても、命の危険は子どもの日常にいくらも存在しているのです。 何だか暗くなってしまいそうですが、スタンレーは決して悲観していませんし、後悔もしていません。恐ろしいサバイバル体験で、彼はかえって強くなり、人生に希望を持ちました。 そう、人生はサバイバル。どうやってでも、生き抜いてこそ、アメリカン・ドリームはかなうのです。 思春期の悩み多き子どもたちに、ぜひ。 うちの娘もかなり勇気づけられたようです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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