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カテゴリ:Hannaの創作
お弁当づくりのため毎朝5時頃起きるので、もうじき話題の「アイソン彗星」が見られるかしらと思っていたら、今日のニュースで、彗星は蒸発・消滅したかも、ですって。ああ残念。
思い起こせば1986年のハレー彗星大接近のときは、高価な反射式天体望遠鏡を買ってもらい、関連本を読みあさり、地元の勉強・観測会などにもちょこっと参加したりして、自分なりに盛り上がったのでした。 しかし、あの時は期待はずれに彗星は暗くてちっとも彗星らしく見えず、な~んだ で終わりました。 その後、1996年春にたぶん百武彗星というのを肉眼で見た(確証はない)ように思いますが、ハレーと同様、しっぽらしいしっぽは見えなかったので、彗星を見たという実感がわきませんでした。この年の秋に長男が生まれてからは、のんびり彗星を見るどころでなく、有名なヘール・ボップも見逃しています。 私、どうも彗星とは縁がないみたいです。 それでも、高校生の頃、ちょっとセンチな短編をつくってみたことがあります; 地球を愛した彗星 太陽系のあるところに、ひとりの彗星がおりました。彼はほかの惑星たちのようにきれいな円を描いて太陽の周りをまわることをしませんでしたので、彼らからはずいぶん軽蔑され、というより話題にものぼらないぐらい、のけものにされていました。それに通ったあとにゴミを散らしていくので、苦情を言われることもありました。 (中略――ある日、彗星は遠くから、青く上品な第三惑星を見かけて一目惚れする。しかしなかなか近づけないまま、何度も軌道をめぐる。そのうち、大接近の機会が訪れ、彗星はわくわくしながら、第三惑星に言葉をかけるチャンスを待つ。近づく第三惑星の美しいこと。) なんてすばらしいひとだろう、と彗星はあんまり感動したので、その時まとっていた微小な物質をみんな燃やしてしまいました。その炎は長く尾を引いて、彼の通ったあとをいろどりました。 (中略――彗星は第三惑星にあいさつし、第三惑星もあいさつを返す。大喜びで軌道を遠ざかる彗星。しかし、再会のときはなかなかめぐって来ず、長い時間のうちに彗星は気落ちしてボロボロくだけ始める。やがて、ようやくもう一度接近の時が来るが、なんとしたことか、第三惑星は赤茶けてどす黒いガスに包まれ、病んで死にかけていた。) 彗星はたしかに、嗚咽のような泣き声と、かすかな言葉を聞きました。 「さようなら」 と。 彗星は悲しみの炎を曳きながら通り過ぎました。彼の涙は第三惑星の引力にひかれて落ちてゆき、黒ずんだガスに触れると小さな爆発をいくつも起こしました。そして、またたく間に変質して腐った燃えかすとなり、第三惑星のおもてに降り注ぎました。 彗星は悲しみのために軌道を飛び出し、太陽系を突っ切って、銀河の真っただなかへ飛び出してしまいました。まっすぐ、どこまでも彼は行きました。二度と太陽系には戻れません。 軌道を失ってしまったので、もう彼はただの水蒸気やチリのかたまりでした。何も感じられなくなって、ブラックホールやパルサーの間を転々とさまよい続けました。 (後略――気の遠くなるような時間の果てに、彗星はあるときむかしの彗星仲間に出会う。仲間は、自分は必死の思いで太陽系を脱出してきた、母なる太陽が年老いて第四惑星までをのみこんでしまった、小惑星たちが火の帯になって燃えさかるのを最後に見てきた、と言う。彗星はその知らせに、今度こそ胸がはりさけて、名も知らぬ星とぶつかって爆発し、粉々に飛び散って星間物質の海に沈む。) おわり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 29, 2013 11:34:37 PM
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