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テーマ:本のある暮らし(3311)
カテゴリ:気になる絵本
幼稚園に入ると、毎月、絵本雑誌をもらいました。最近では物語だけでなく、工作だとか歌だとかいろいろ短い記事がもりだくさん載っている雑誌が多いですが、昭和40年代当時は、薄っぺらで物語がひとつだけでした。
私のときは初年が「キンダーブック」、次の年は「銀のすず」でしたが、初めてもらった「キンダーブック4月号もこもこくんのおともだち」がとてもお気に入りでした。 (書名リンク先の画像は古書店のりへい書房さんです) 初めてもらったということもありますが、ほかに、この短いお話が私ごのみの動物ものだったこと、そして、典型的なファンタジーだったことも大好きな理由です。 もこもこくんは/げんきな こひつじ。/ぴょぴょんと とんだ・・・(中略)ほかの ひつじは/しらんかおで/くさを たべています。 --稗田宰少子・文「もこもこくんのおともだち」 群から離れて雲を見ていたもこもこくんは、不思議な白い子羊に出会って友達になります。ファンタジーは、日常そばにいる大人や身内から離れて一人になったとき、始まるのです。 この子羊は名を名乗らず、あまり口をききませんが、そんなことは気にせず友達になってしまうのが、幼年時代のよいところ。もこもこくんは相手に「もくもくちゃん」と名付け、いっしょに遊びます。ところが、もくもくちゃんは非常に身が軽いうえ、水にうつった姿には目鼻がなく、まるで雲のようです。真実を映し出す水鏡。 夕方になり、羊番のコリー犬がもこもこくんを捜しに来て、群に帰れとほえます。まだ遊びたいので、もこもこくんは「にげろ、もくもくちゃん」と声をかけて走ります。いいですねえ、この展開。捜しに来るのがお母さんではなく、番犬というのが良いです。番犬とは、子羊がファンタジー界に深入りしすぎないように見張っているもののことです。 ところが、もくもくちゃんは崖っぷちから空にのぼっていってしまいました。ついていけず、めえめえ鳴くもこもこくん。空にうかぶ雲に、もくもくちゃんは混じっていきます。夕焼けに染まる雲がとてもキレイ。もくもくちゃんが雲に還るのを見て、もこもこくんも納得したように自分の群に帰ります。 これは、日常の地続きにファンタジー的要素(この場合は異世界の住人)が入りこんでくるエブリデイ・マジックと言われるファンタジーのパターンです。異世界人との交流ですてきな時間を過ごした主人公は、やがてさよならを言ってそれぞれ元の世界に帰る。「E.T.」などでもお馴染みのストーリーですね。 ファンタジー体験は主人公に現実のルーティンをいっとき忘れさせ、リフレッシュさせ、視野を広げます。より良い心の状態になった主人公は必ず無事に現実に帰る。もこもこくんもきっとお母さん羊の隣で満ち足りた眠りにつくはず。この安心感が、ファンタジー体験と同じくらい大事ですね。 いまでも夕暮れ時にひつじ雲を見かけるような時には、必ず思い出すお話です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 23, 2014 11:47:46 PM
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