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カテゴリ:近ごろのファンタジー
ダーク・ファンタジーで有名なダレン・シャンの「デモナータ」シリーズ1巻『ロード・ロス』を、娘が借りてきたので、私も読んでみました。
ダークだと噂には聞いていたけど、心理的なダークというより、物理的な血みどろ。出てくる悪魔や怪物は、ちょっと想像も付かないぐらいつぎはぎだらけのキメラです。ワニの頭とか、髪の毛のかわりにゴキブリうじゃうじゃとか、手のひらに口と歯があったりとか。子供がふざけてめちゃめちゃに作りあげた怪物像みたいです。 しかし、気持ち悪い系のモノがてんこ盛りの割には、描写自体はさくさくとしていて、細部をいちいち想像さえしなければ、本当に恐ろしい、ということはありません。それが、子供に結構好まれる理由かもしれません。 家族を殺され精神病院に入れられ、誰にも分かってもらえず、誰を信じていいか分からず、と主人公にはありったけの不幸が襲いかかりますが、これも少年らしい小気味よいテンポで簡潔に語られていくせいか、陰鬱さはあまりなく、わりと共感を呼びます。なぜなら、家族や世間との断絶感、それまでの生活や価値観の崩壊と再構築などは、どれも思春期の子供たち共通の試練だからです。 それらを、わかりやすく殺人や血みどろや精神病院、狼男に変身する恐怖、などで表していると思えば、これはこういう物語世界として受け入れられるかも・・・でもやっぱり、相当グロいけれど。 「魔将」ロード・ロスとチェス対決するのがクライマックスですが、これもちょっと子供だまし的な結末でした。 それにしても、なぜこんなに悪魔がチェスにこだわるのか、不思議でした。実は続刊を読むと宇宙観にチェスが深くかかわっていることが分かるようです(ズルをして、続刊の紹介を読んでしまいました)。 チェス盤の世界、なるほど! これは『鏡の国のアリス』ですね。作者はイギリス生まれアイルランド在住だそうですから、きっと正統なファンタジーをたくさん読んでいるのでしょう。 その根拠はもう一つ、対決に使われるチェス・セットの一つが、「ロード・オブ・ザ・リング」の登場人物をかたどったものなのです!(ちょうど映画が話題になった後の作品なので、邦訳も映画のタイトルとなっているみたいです) そのチェス・セット、欲しいです! 「ホビットの駒」はもちろんポーンでしょうね、「魔法使いの駒」は、うわ~、ガンダルフのとんがり帽子のついたビショップかしら、とわくわくします。 本筋からそれた感動でしたけど、これも作者の『指輪物語』に対する敬意だと思うと、何だか嬉しいです。 デモナータ・シリーズには、古代アイルランドの神話伝説をもとにした巻もあるようで、気になります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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