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復刊ドットコムでリクエスト投票していたら先だって再版。ですが、専門書って高価ですしね。待ちきれず安い古本で入手しちゃいました。現在、すでに復刊ドットコムでは在庫切れです。お高くてもあっという間に売れたということかしら。
何しろ、副題(原題)でわくわくします。スキタイといえば、紀元前の中央アジア(黒海あたり)のナゾの遊牧民。 一方、キャメロットは英国の伝説の英雄アーサー王の宮廷のあった場所です。が、どこだか特定されていません。アーサー王じたいが存在したかどうか議論される人物で、膨大な伝説や物語が彼のまわりに集まっており、今でもアーサー王ものといえば、西洋ファンタジーの一大ジャンルを形成しています。 アーサー王伝説の多くはケルト起源とされているので、私も以前から興味があったわけですが、この本ではなんと、遠くスキタイの末裔?アラン人の文化・神話がアーサー王伝説の根底にかなりある、という新説を主張しています。 アラン人は黒海沿岸からフン族におされて西ヨーロッパに入り、1世紀にはローマ帝国の傭兵としてブルターニュ半島やイギリスに派遣され、そこに入植・定住してアーサー王伝説のもとを作ったというのです。ロングアゴー&ファーラウェイ、ですねえ。 円卓の騎士ランスロットの名前は「ロット(フランスの川)のアラン人」が起源だとか! そういえば、1世紀が舞台の『クリスタル・ドラゴン』に出てくる世界樹の精霊アラン(アラヌス)は、分割されて剣の柄や眼帯の留め具などになり、アイルランドやアイスランドにまで散らばっていたという設定でした。人々の移動や交流にともなって、モノも名前もそして伝説も、驚くほど遠くまで到達する可能性があるわけです。 話を『スキタイからキャメロットへ』に戻しますと、この本には吉田敦彦の解説でナルト叙事詩(スキタイ人の末裔オセット人の英雄神話)が紹介されていて、独立したお話としてもおもしろいです。 本文では、この神話に出てくる神宝の杯が、アーサー王伝説の聖杯である、と主張されているんですね。どれくらい説得力があるのかは、専門家でない私には判断できませんが、とにかく、民族大移動の時代に多くの人々が黒海沿岸あたりからヨーロッパへ流れ込んできたのですから、ヨーロッパ文化の基層を成す伝説に、多少なりとも中央アジア起源の要素が入っているのは、当たり前、かもしれません。 そして吉田敦彦さんといえば『日本神話の源流』という本を持っているのですけど、ここに日本神話とスキタイとの関係が記されているんです! 日本人はアルタイ語族とか言われますけど、中央アジアのアルタイ語族は、スキタイの影響を受けているから、日本神話の一部には、スキタイとの共通点がある。そして、同じくスキタイの影響を受けたヨーロッパのギリシャ神話とも共通性がある(その一例が、亡き妻を訪ねて黄泉の国に行くイザナギとオルフェウス)。これまた、ロングアゴー&ファーラウェイです。 さらに私は思うのですが、ケルトの物語と日本の民話だって、そっくりなのがあったりするんですけど…浦島太郎とオシアンとか、こぶとりじいさんそっくりの民話とか。これも実はスキタイつながり? ユーラシア大陸の東と西とをつなぐ、まんなかのスキタイ。気宇壮大なヴィジョンです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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