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カテゴリ:近ごろのファンタジー
もはや「近ごろの」作品と言えるかどうか…、「ハリポタ」と同時期の作品です。私は1巻だけしか持っていません。
トールキンの『指輪物語』の成功以来、欧米では異世界ファンタジーが雨後のタケノコのように出版され、いくつかは“指輪物語を超える”みたいな帯文句とともに邦訳が出ました。しかし、ファンタジックな異世界を舞台にした若者の成長物語が多く、似たり寄ったり。 それはそれでいいのですが、たとえば『石と笛』、ドラゴンライダー・シリーズ、グウィネド王国、リフトウォー・サーガ、ファーシーアの一族、ベルガリアード物語、力の言葉、他にもタイトルが思い出せないあれやこれや・・・みんな1巻目はまあ面白く読んだのですが(『石と笛』は全部読んだし、リフトウォーも何巻も読んだ)、続きを買いたいと思うほどではなく、今となってはどれがどれやら。 つまり、王道の異世界&成長物語に何かプラスアルファがないと、インパクトが弱いということなんです。 ハリー・ポッターが(私はあまり好かないですけど)、さすがに強烈に印象に残るのは、学園モノとの絶妙のカップリングだと思います。魔法や修行をする主人公は定番ですが、そこへ現代に通じる学園生活を持ってきたのは、アタリでしたね。 で、やっと『ヨナタンと伝説の杖』です。異世界の分身の冒険を夢に見る、車椅子の少年という「枠」の設定が、この物語の個性的な特徴でしょう。 それから、キリスト教。これはクリスチャンでなければ日本人にはとっつきにくいですね。異世界の成り立ちのベースにキリスト教の原理がはっきりとあって、C.S.ルイスの「ナルニア」でもそうですが、この部分が受け入れられないと、楽しんで読めません。 私は現実世界では、車椅子のジョナサンとおじいさんとの心の交流に心温まりましたし、異世界ではヨナタンと友人ヨミの会話や雨林の住民ディン=ミキトの一風変わった生活も楽しかったです。しかし2つの世界のかかわりがよくわからないまま、1巻は終了し、以下2・3巻ネタバレ→ ジョナサンがネシャンの方へ行ってしまったままになってしまうのが、以前とても残念でした。 せっかく枠設定を最初にしっかりと持ってきているのに、それはキリスト教とネシャン世界をつなぎあわせるための導入という意味だけだったんでしょうか? うーん。 そういえばナルニアも、ラストはほぼみんな現実世界で死んでナルニアに来て、本当のナルニア(天国)へ行っちゃうところが、どうしてもなじめなかったのですが、つまり、ファンタジーの重要な機能としての現実世界へのフィードバックというのがないからなのです。 結末が分かって再読すると、1巻のジョナサンが切ないのです。祖父はジョナサンがまた元気になる日を信じていたでしょうに・・・。主人公が、自分で選んだのかもしれないけれど、天に召される的に異世界に参入してしまう大団円は、うーん。俗な感覚では理解し得ないのかもしれません。そのうーんを埋め合わせる感じの3巻の派手な異世界ハッピーエンド、なんていう言い方は、よくないんだろうなあ、と思いつつ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 29, 2018 12:41:42 AM
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