日本に数部しか現存しない古筆「三国志(三国志演義)」の原本を公開
通俗三国志 巻之二十曹操(そうそう)槊(ほこ)を横たえて詩を賦す徐庶命(じょしょめい)を受けて、すでに兵を引いて出でければ、曹操(そうそう)も、「今は都のうち心にかかる事なし」とておおいに喜び、みずから馬に乗って、まず陸(くが)の陣を見巡(みまわ)り、そののち大船(たいせん)一艘を中央にうかべ、「帥(すい)」の字かきたる旗を立てさせ、左右みな水寨に傍(そ)うて弩(いしゆみ)千張(ちょう)を伏せおき、みずから将・・・・・《台の上に坐す。》通俗三国志 巻之二十曹操(そうそう)槊(ほこ)を横たえて詩を賦(ふ)す 曹操(そうそう)は徐庶(じょしょ)を差し向けたあと、やや落ち着きを取りもどし、馬に乗ってまず長江沿いの陸の陣営を視察し、ついで水上の陣営を視察した。曹操(そうそう)は大船に乗り込んだが、その中央には「帥(すい)」と記した旗印が立てられ、両側には水軍がずらりと並び、船上には千張の弓や弩(いしゆみ)の射手がひそんでいた。曹操(そうそう)は船・・・・・《上にすっくと立った。時に建安(けんあん)十三年(208)冬十一月十五日、天気は快晴、風は凪(な)ぎ波も穏やかだった。曹操(そうそう)は命令を出した。》