25日(金)の午前中、会社を半日休んで上野へ行った。
大人気の展覧会、週末なんかに行ったらたいへんなことになるからね。 東京国立博物館の「北斎展」。 多様、絢爛(けんらん)、多作。 美術工芸の天才は、若いときにひとつのスタイルで既にして円熟し、 そのあと何度も脱皮をくりかえし、 4~5人分の人生を生きてしまうのだけど、 北斎はまさにそういう人だと思った。 ところで、 展覧会に行くとだいたい最初のコーナーがものすごく混んでいて、 これが見どころなのにね、という途中から最後のあたりが けっこう空いていたりするのですね。 最初はみんなとにかく熱心に見るけど、 だんだん疲れてきて脚が速くなる。 北斎展も、見どころは華麗な肉筆画と 50歳以降の諧謔洒脱(かいぎゃく・しゃだつ)の世界。 充実の図録もぜったいに買うべし。 プーシキン美術館展。 これほどわかりやすく近代西洋美術の流れが学べる展覧会も珍しい。 セルゲイ・シチューキンとイワン・モロゾフという 帝政ロシアの商社マンたちが、 19世紀末から第一次大戦までのあいだ、フランスで 「自分の好み」にひたすらこだわりつつ 「さまざまなスタイルの網羅」をめざしたコレクション。 画家は異なり、時代につれて流派も変わるのだけど、 「好み」の一貫を感じさせてくれる。 こうして展覧会に行くのが好きなのも、 わたしの父のおかげである。 骨董品の好きな人で、 30代から刀剣、よろい、鍔(つば)、火縄銃などを集めていた。 県庁職員の薄給で、よく集められたものだ。 たぶん、母は苦労したにちがいない。 松山でひらかれる日展巡回展や県展に必ず連れて行ってくれた。 こちらは、さほど行きたくもなかったのだが、 「よイ、行くぞ」 と言われては自転車で一緒についていった。 おかげで、展覧会に行くのはごくごく自然な行為になっている。 だから娘たちも展覧会に連れていってやろうとするのだが、 いやはや、 なかなかついてきませんね。 おいしいものも食べようね、とか言って誘うのですがね。 中学生のころのわたしが聞いたら放心状態になってしまうような おいしいオファーをするのだけど、 やっぱりついてこないのよね。ハハ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 26, 2005 08:03:37 PM
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