テーマ:中国&台湾(3304)
カテゴリ:台湾の玉石混淆
「先住民族テレビ局」をつけている。
いま宿泊中の台北のウィークリーマンションでは、有線放送テレビのチャンネルにこの“原住民族電視台 Taiwan Indigenous TV”がセットされている。 どんな番組をやっているかと言いますとね。 たとえば今朝の6時からの“族語新聞”(民族語ニュース)。 番組名も含め字幕は中国語(北京語)ですが、アナウンサーは Ofing Kalang という男性で、蒙古服のような服に花柄の刺繍入りのたすきを掛けピンク色のタオルを鉢巻にして、パイワン語(“排湾族語”)でしゃべっている。 (なんでパイワン語と分かるかというと、“排湾族語”と説明字幕が出るからです。) 話題は、台湾のさまざまな先住民族に関連する催し物の報道が中心で、祭りや運動会、禁煙キャンペーンの集会、などなど。 各地で取材する記者は、その出身の民族語でニュースを読み上げるので、画面には “布農族語”(プヌン語) “雅美族語”(ヤミ語) “泰雅族語”(タイヤル語) “魯凱族語”(ルカイ語) “阿美族語”(アミ語) のように、異なる言語名が表示されてゆく。 聞いていると、 フィリピンのタガログ語を思わせる響きのことばが多いのですが、 アミ語にはアイウエオ以外の母音も聞こえて独特の抑揚がありました。 日本語のニュース報道文を読み上げれば、大量の借用語(漢字語・外来語)が混在するわけですが、 この“族語新聞”は、聞いていると借用語の混在率が少なく、固有語彙で頑張っているようすが感じられます。 それでもたまに、 「クルマ」 「イチバン」(優勝の意) 「ウンドーカイ」(運動会にとどまらずスタジアムで行う本格的な競技会をふくむ) 「シンブン」(ニュースの意味で) といった日本語が聞こえたり、 “公路”(コンルー。「自動車道路」の意) “隧道”(スイタオ。「トンネル」の意) “健康服務中心”(チエンカンフーウーチョンシン。「健康サービスセンター」の意) “亜運”(ヤーユン。「アジア競技大会」の意) などの語彙が北京語そのままの声調つきで使われたりということも。 先住民族とて台湾で生活するためには北京語も使っているわけで、民族語のテキストのなかに北京語の語彙を入れ始めたら際限がなくなってきますから、意識的に固有語彙に置き換えてゆく努力をしていることでしょう。 これを書いているうちに“族語新聞”はおわり、北京語のニュース番組がはじまっています。 報道内容は先住民族の催し物で、その辺は同じ。 Buka Malingaling という名の男性アナウンサーがニュースを北京語で読み上げます。 台湾の先住民族は、いちばん人数の多いアミ人(阿美族)が14万9千人ほど。 タイヤル人(泰雅族)が8万5千人、パイワン人(排湾族)が4万5千人、といった具合。 先住民族全体を合計して、台湾の総人口の2%といいますから、45万人ほどです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jun 5, 2007 08:39:06 AM
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