文春新書『英語学習の極意』著者サイト

東南アジア・インドの首相歴訪は成功だった。麻生外相の構想が着実に生かされていた。

８月２７日に安倍新内閣の陣容発表だそうだが、いまのぼくの気持ちを正直に記しておくと、

「こわさ６割、期待３割、あきらめ１割」だ。


不思議なもので、参院選のすぐあとの「安倍退陣せよ」のメディアの罵声も、それに応じるべき“次のひと”が名乗りをあげないから尻すぼみになってしまった。

小沢一郎側のばらまき政治の公約が参院選以降まったくかえりみられず、ニュースになったのはアメリカ大使をおちょくる姿だけだったということもある。

小沢さん、あんたに投票した田舎の人たちだって、我慢は３ヶ月だよ。
秋の争点をテロ特措法にしてしまったら、民主党こそ次の選挙でヤバイんじゃないかい。

田舎の人たちだって、テロ特措法の延長がならず、自衛隊一旦撤収となり余分な税金がかかってしまうことのほうを悲しむと思うがね。


８月初めには考えられなかった静かさのなか、防衛省人事の“小政治”だけが突出した。
ほかに話題がないから大ニュースになったようなもので、じつは囲み記事レベルの出来事だ。

けっきょく男をさげた塩崎さんと、女をさげた小池さんがのこってしまった。
ご両人とも、お気にいりの政治家だったので、ぼくはがっくりきている。


さあ、国民をこれだけお待たせした内閣人事だ。
あっと言わせてほしい

……のだが、これが腑抜けていたらどうにもならないから、支持者としては「こわさ６割」なのだ。


よく、安倍首相のＩＱの低さをあげつらう向きがあるが、ＩＱで首相になるのなら歴代の内閣法制局の局長が次々に比例区あたりで当選させてもらって首相をやればいいのだ。

やはり首相の地位というのは
「どんな動物的“勘”をもっているか」
「どんな決定的“貸し”をもっているか」
で決まるのだと思う。

安倍首相の場合、今年に入って、
“植物”的な勘と、
決定的“借り”のありさまばかり
目立ったような気がして残念だ。

安倍首相、“化ける”最後のチャンスだけど、どこまで「人のよさ」を振り払えるか。

「あきらめ１割」で、「ダメ」のほうにも札をはっている自分が哀しい。


新内閣ができたあと、どんな人間模様が見られるのか。

「自らの責任を棚に上げ、手のひらを返したような振る舞い」という文字を８月23日の『北國新聞』コラム「時鐘」に見て、

コラムの話題は政治と関係ないのに、なぜか今後の政局のことに思いが行った。

「時鐘」から　――


≪相撲は礼に始まり、礼に終わる。

伝統の高校相撲金沢大会で活躍する県内の相撲部を訪れると、けいこが終われば
「記者さんに、礼」
と巨漢たちが直立不動であいさつしてくれる。

　礼儀を重んじる世界ではあるが、大相撲の力士の取材ではさんざん骨の折れる思いをさせられた。

概して無口で無愛想な関取が多い。カメラを向けると決まってくるりと背を向ける横綱もいた。

金と地位を手にすれば、時に天狗（てんぐ）にもなる。

　横綱朝青龍の引きこもりは、モンゴル大統領が帰国を薦めた、と報じられるほど騒ぎが広がる。

発端が仮病疑惑だから世間の厳しい目もやむを得まいが、気にさわるのは「心技体」の充実という決まり文句を持ち出す元力士や親方らの非難である。

　理想論はそれとして、さて現実にそんな名横綱がどれだけいただろうか。

逆に、お騒がせ横綱ならば次々と名や顔が浮かぶ。

　憎いほどの強者が見せた弱みは、格好の攻撃の的になる。

相撲界を背負う一枚看板と持ち上げ、甘やかした揚げ句の非難である。

自らの責任を棚に上げ、手のひらを返したような振る舞いに映る。謹慎中の横綱の、伸び放題という無精ひげより見苦しい。≫