カテゴリ:ぼくの疑問符
え!? の次の瞬間、あぁそういうことだったか……と思った。
じつはNOVAでは7月ごろ「1万円で受講ポイントを10ポイント増やせる」という販売キャンペーンがあった。 通常は半年コースが約10万円で25ポイントだったから、これは破格のお値段だった。 英語いがいの言語をテレビ電話で学ぶとき、大阪本部の外国人講師と1対1で学ぶなら1レッスン=40分=で3ポイント消費。 1対3で学ぶなら1レッスンで1ポイントだった。 (目の前にいる講師と英語を学ぶときはポイント数はもうちょっと高かったようだが、わたしは利用しなかったので記憶はあやふやです) さらにキャンペーンはつづき、8月後半から9月末まではテレビ電話通信費が無料になった。 それまでは1回分500円(あ、1000円だったかも……)を支払っていたのだが。 (記憶があいまいなのは、これまた通信費10回分を前払いしていたから) さすがにこの大盤振る舞いにはびっくりして、 「なんでそこまでサービスしてくれるんですか?」 と訊いたら、 「とにかく9月までに少しでもレッスンをうけていただきたいんです」 と係員が言っていた。 いま思えば、そこまで無理をしてでも目先の売上高を上げる必要に迫られていたのだろう。 その結果わたしは9月にはいると、わずか1000円で大阪のフランス人やドイツ人講師の40分間レッスンをうけることができた。 予約がたいへん取りにくい(といわれた)英語レッスンと異なり、特殊語学の中級・上級クラスは受講者が少ないから予約は取りやすいほうだった。 「1対3」モードで予約しても、結果的に講師とマン・ツー・マンだったこともしばしばだった。 そういうわたしなどは超ラッキーな部類で、NOVAの受講者の平均像を代表していない。 それでも10月11日のレッスン期間終了時に受講ポイントを1ポイント余らせたのがちょっとだけ悔しかった。 英語のレッスン予約がなかなか取れず、大量の受講ポイントを残しながら会社に破綻されたウン十万人の皆さんの口惜しさはいかばかりか。想像するのもこわい。 ■ 売上高計上方式に差があった ■ 日本経済新聞10月27日号の企業総合面に外国語学校の授業料前払分の売上高計上方式の比較が出ていた。 イーオン、ECC、ベルリッツ・ジャパン、GABAは受講実績で計上だ。 だから、受講者だけ呼び込んでも売上高には直結しない。前払金をもらっても会計上は預り金勘定であって、授業を成立させてはじめて売上が立つ。 それに比較して、ジオスは「前払金の2割をまず計上」、NOVAにいたっては「まず45%計上」という方式だった。 NOVAのように売上を先行して計上する方式だと税務署は喜ぶ。 しかし、経営にとっては両刃(もろは)の刃(やいば)だ。 講師の数やレッスンの空きが足りなくてもとにかく生徒を増やせば売上が上がるから、講師数やレッスンの空き具合を度外視して受講者数を増やすほうに走ってしまう。 売上を先行認識するので、いきなり実力・実態を上回る売上高となる。 実力以上に銀行借入がしやすくなり、派手な広告作戦も可能だ。 しかし実際にレッスンが進行する段階であがる売上高はその分だけ低くなる。 とにかく拡大路線で行け! と発破がかかるだろう。 3年分のレッスン費用40万円ほどを前払金としてNOVAが受け取ると、いきなりその45%を売上高として認識してしまう。 その受講者がけっきょくほとんどレッスン予約が取れないことを不満として解約を申し入れても、売上高として勘定して納税申告まで済ませた受講料を返戻するのは困難、ということになるだろう。 ■ 成立しなくてよかった「NOVA本」企画 ■ 今から3年ほど前だったか、ビジネス本を出している中堅出版社から声がかかり、語学本を企画したことがあった。 『NOVAに行く前に読もう』(仮題) 英・中・独・仏・西・伊の各言語の講師さんとわたしが対談して、日本人学習者の弱点をあぶりだしつつ語学のコツを語り合い、講師の出身国と日本の文化の違いにも光を当てるというもの。 NOVAの宣伝にもなるし、冒頭か末尾にNOVAの社長さんとの短い対談を入れてもいいですよ、と出版社からNOVA広報部にもちかけてもらった。 出版社からはNOVA広報部へ何度か電話でフォローをかけてもらったが、「検討してます」と言われるばかりで、けっきょく沙汰やみとなった。 この企画が成立していたら今ごろになって「NOVAを持ち上げた商社マン」とかいって叩かれていたかもしれない。 嗚呼、企画不成立は神佑天助であったか。 辺鄙なところでも英語・中国語いがいの特殊語学をネイティブの講師とともに学べるNOVAのシステム自体は悪くなかったのだが、経営構造に問題がありすぎた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Oct 30, 2007 08:36:19 AM
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