今年9月に台湾で始まった「全民最大党」という政治パロディー娯楽番組がある。
政治家の物真似の瞬間藝で売るというより、政論そのものをパロディーにして与党民進党のことも野党国民党のことも笑いとばす。
日本の政治パロディーが圧倒的に自民党のことしか対象にせず、公明党と野党を聖域に置いているように見えるのとはえらい違いである。
(↓ 「全民最大党」のサイト)
http://www.ctitv.com.tw/new/34/apeshow/
さて、11月13日の深夜にこの番組を見ていたら、中国の台湾政策交渉窓口の責任者が記者会見で台湾政治を批判するというパロディーをやっていた。
背広とネクタイの選び方が微妙に野暮で、中国語の発音も巻き舌が強い北京式標準語と、藝が細かかった。
こんなくだりがあった。
「国民党は、陳水扁を攻撃するときいつも馬英九にやらせているが、あれは愚策だ。
トップの馬英九にやらせるのではなく、そこいらの村長をつれてきて陳水扁批判をやらせればいいのだ」
「陳水扁を相手にするのが馬英九でなく、そこいらの村長だとすれば、陳水扁は村長レベルにまでおとしめられたということになるからな」
このロジック、中国語で聞いていると すっと理解できるのだが、日本語に訳して考えると「は?」。
大統領に対する批判を、野党の代表格の人物が行うのではなく、一介の村長が行うだけだと、大統領が村長レベルにおとしめられたことになってしまう、という理屈は日本人にはピンと来にくい。
しかし自分を観念上の中国に置いてみると、面子(めんつ)のためのレベル合わせへのこだわりが日本人以上に強い中国人気質が思い出された。
そういう中国人気質を笑いとばしているパロディーなのだろう。