カテゴリ:語学のコツ
最近立て続けに、英語文法の不思議に出会った。
■ 前置詞の後なのに him に変化しない he まずは用例から: ≪To copy and let others copy is a duty, an expression of that loyalty and fraternal solidarity with he who shares our destiny.≫ ここでいう copy は「テスト中にカンニングでほかの人の答案を写す」こと。 ≪ほかの生徒の答案を写したり写させてやったりするのは義務、つまりおよそ運命を共有する者に対してもつべき忠誠心・友愛心の表現なのだ。≫ (今年6月28日の『ウォールストリート・ジャーナル』紙、Francis X. Rocca 氏のエッセー Italians Cheat to Win から。) 注目すべきは、he who shares our destiny(およそ運命を共有するもの)という表現がいわば凍結状態になっていて、この前に前置詞 with がついても he が him に変化していないこと。 この he は「彼」ではなくて、anybody の意味。文章語用法。 そういう he が前置詞支配を受けても語形変化しないという英文法ルールは習ったことがないのだけど、たしかにここを the loyalty with him who shares our destiny と書かれると 何となくおかしな感じがする。 突然出てくる「彼」に戸惑ってしまう。 手元の英英辞典6冊を引いてみたけど、こういう he が語形凍結してしまうルールは書いてなかった。 ネット上で用例を検索してみたら、昭和45年に Van der Graaf Generator というロックバンドがリリースした曲に H to He, Who Am the Only One というのがあった。 「たったひとりのオレサマに贈るH」 「かけがいのないボクにH」 と訳するのだろうか。 たしかに前置詞 to のあとの he が語形凍結している。 ハリー・ポッターに出てくる悪のキャラクター、ヴォルデモート (Voldemort) の通名 He-Who-Must-Not-Be-Named(名を呼んでならぬ者)の前に前置詞 with がきているのに Him-Who-Must… と語形変化せず、with He-Who-Must-… のまま語形凍結しているよう例もあった。 もうひとつ別の不思議は、明日書きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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