テーマ:中国&台湾(3304)
カテゴリ:台湾の玉石混淆
また台北に来ております。
11月26日付『中国時報』(台湾の大手紙)が「10年後の台湾像」と題したアンケート調査結果を発表していた。 (11月2日と6日に実施し有効回答者数1,005名) 「台湾が今後10年内に直面するかもしれないと不安に思いますか?」 という設問で12項目挙がっていて、アンケート上の筆頭項目が「中国が台湾を武力侵攻」。 心配だ 22.1% 心配しない 66.5% わからない 11.4% これを、思いのほか危機感が薄いと見るか、濃いと見るか? そもそも日本の新聞で同様のアンケートを実施するとき、「中国が日本を武力侵攻」をアンケート項目には挙げないだろう。 「北朝鮮が……」なら、アンケート項目としてありうるが、その場合も「武力侵攻」ではなく、「テロ攻撃」だろう。 (北朝鮮の正規軍が日本に上陸するといったことはイメージされえないだろう。) さあ、わたしなら、沖縄県の西半分の先島諸島(宮古列島・八重山列島・尖閣列島)は十分に中国による侵攻対象になりうると考え、「心配だ」のほうにマルをつけるが、 圧倒的多数の日本人は「中国が日本を武力侵攻」の項には「心配しない」と回答するだろう。 それとの比較感で考えれば、理解できる数字なのかもしれない。 中国共産党があれだけ吼えている割には、台湾人は心配していない、と見るべきなのか。 設問12項目のうち「心配だ」の百分比が高かった順に見てゆくと、 「社会治安悪化」(76.6%) 「教育改革失敗」(74.1%) 「若い世代に競争力が欠如」(73.7%) 「貧富の差の拡大」(73.1%) 「役人の汚職」(67.1%) 「経済発展停滞」(66.1%) といった具合。 「教育改革失敗」と「若い世代に競争力が欠如」は1つに括れると思う。 日本の場合、若い世代の「質」よりも「量」のほうを心配する向きが多いかもしれない。 日本のアンケートなら「少子化問題」が必ず挙がるはずだが、中国時報のアンケートにはこの項目を立てていないのが不思議。 台湾の場合、東南アジア華僑の移民や中国から結婚して連れてきた配偶者、いわゆる“新移民”の問題のほうに関心が移っているからか。 ちなみに「新移民が差別を受ける」の項に「心配だ」と答えたのは32.8%となっている。 中国時報アンケートの次の設問は 「それら12項目のうちで最優先で取り組まねばならない問題は何ですか?」 「経済発展停滞」が57.8%で、2位の「教育改革失敗」(10.8%)を大きく引き離していた。 日本でいえば、毎度おなじみ「景気対策」(=公共事業でばら撒き政治をやって、未来の世代にツケを回しちゃえよ)に当たるのか。 この設問だと単一回答となるので、「中国の台湾武力侵攻」を最優先課題として回答したのは、わずか0.3%だった。 これも設問の仕方次第であって、同時期に中国時報が行った「50名のご意見番に聞く最優先課題」(複数回答可)では、「両岸関係(台湾と中国の関係)を改革する」が40%で筆頭課題にあがっていた。 以下、「経済発展の加速」(22%)、「若い世代の競争力を高める」(16%)。 住みやすい台湾に安易に安住してしまう若い世代への危機感が共有されているようだ。 日本はどうなのだろう。質より量のほうに議論が集中しているのを、良しと見るかどう見るか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 27, 2007 08:33:52 AM
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