テーマ:中国&台湾(3304)
カテゴリ:台湾の玉石混淆
台湾にいて蒋介石と日常どこでお目にかかることがいちばん多いかというと、1元玉、5元玉、10元玉の裏面である。
ちなみに50元玉と100元札は孫文だ。 政治路線が変わって諸外国でレーニン像やスターリン像やサダム・フセイン像が廃棄された。 まさにそのように、台湾でも蒋介石像が静かに処分されつつあるのだが、硬貨が変わるのはいつだろう。 自動販売機改造の社会的コストがかかるせいか、まだ手がつけられていない。 蒋介石の「介石」は字(あざな)、いわば通名(つうめい)である。本名は「蒋中正」といった。 台北の国際空港は“台湾桃園国際機場”だけど、平成18年9月5日までは“蒋中正国際機場”だった。 日本語では「蒋介石国際空港」と呼ばれていたけどね。 蒋介石離れのために空港の名を変えるときも「唐突すぎる」云々の議論を呼んだけど、変えてしまうとあっという間にそれが日常風景となる。 ワシントン特別市のリンカン記念館に相当するのが、台北市では“中正紀念堂”である。 大統領府の近くにある。北京の“天壇”ふうの建物で、階段をあがって中に入ると巨大な蒋中正(蒋介石)の坐像がある。 “中正紀念堂”は“台湾民主紀念館”と名が改められたのだが、建物正面にかかった額は“中正紀念堂”のままだった。 そして何よりこのエリアの入口の門の中央に“正至中大”という額がかかっている。 これ、1行1字の縦書き(つまり右から左へ読む)ので、“大中至正”。 そのまま訳せば「偉大なる中華はもっとも正しい」という意味。「中」と「正」の文字の含意が最大限に高められている。 この“中正紀念堂”の額を“台湾民主紀念館”へと、また“正至中大”の額を“自由廣場”へと、それぞれ改める作業が12月6日午前9時から始まっている。 反対派もいるから、エリアを封鎖しての作業になっている。 反対派のデモがあるわけでもなく散発的に抗議を叫ぶひとがときどきあるていどだが、テレビのニュースでは昨日からこの「抗議の姿」を盛んに映し出す。 現場の前をゆきすぎると、テレビ中継車が8台並んでいる。 日本でもテレビで「抗議の姿」ばかり映っているかもしれないが、抗議デモひとつ組織されないし、組織的反対運動はない。 テレビの絵になる光景にだまされてはいけない。 抗議のデモは起きない。でも抗議を叫ぶ自由はある。それをテレビで放映する自由もある。 そういう国である。そのていどの出来事である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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