カテゴリ:ぼくの疑問符
1月21日の配信コラム「無漂白で灰色のトイレットペーパーができないか」 は、タイトルがよくなかった。
専門用語を使って「脱墨(だつぼく)なしで……」と書けばよかった。 再生紙の原料になる紙の繊維から印刷インク成分を界面活性剤(要は洗剤)で洗い落とす過程を省けば、再生紙製造過程の水の消費を減らせるし、界面活性剤の消費が減れば環境にもやさしいはず、というのが配信コラムの趣旨だったのだが、 この「脱インク」プロセスを業界では「脱墨」と呼んでいる。 英語では deinking といいます。分解すれば de (脱~) + ink (インク) + ing であります。 脱墨技術でも日本企業は世界の最先端にある。 「高付加価値商品をつくって、そこに利潤を見出すべし」というビジネスのイロハからいけば、脱墨しない手はない。 だからマーケットから40年も前に灰色のチリ紙は消えた。 でも逆にいま、あえて脱墨しないことで商品が売れる隙間市場(ニッチマーケット)も潜在しているのではないか、 そしてその今は見えない隙間市場を顕在化・活性化させることが「環境にやさしい」ことにつながるのではないか、 というのが配信コラムの趣旨だった。 もちろん「ひとの好み」を変えられるものではないし、ひとの好みに干渉するのが趣旨ではない。 世の中のおおかたの好みは、純パルプの高級トイレットペーパーが並ぶ店頭を見ればわかる。 従来の純白トイレットペーパーとの「併用」を前提とした提案だ、とコラムにもはっきり書いたつもりだったが、 「じぶんは灰色のトイレットペーパーはとにかく嫌である」という趣旨の長文のメールを送ってこられた方がいた。 いろいろ参考になることも書かれていたのでありがたかったが、そこまで熱心に反論されなくとも……と思いながら読んだら、最後に ≪どこかのメーカーなり、ペーパーの売り場担当者の方がこのグレーティッシュに力を入れだし、好みのトイレットペーパーが購入できなくなると大変なのでメールした次第です。≫ とあった。 あの……。 グレーティッシュとは、すてきなネーミングですこと。 尻拭き紙のつもりでしたが、もちろん用途は万能だと思います。 とはいえ、世の中のトイレットペーパーがすべて灰色紙になるなんて、独裁国朝鮮でもありえないと思いますが。 趣旨にご反対のかたは、おくつろぎのうえ静かにしててくださると助かりますねぇ。 賛成のメールもいただいた。 ≪全く同感であります。綺麗な紙である必要はないと考えます。 極端なことを言えば、「ケツが拭ければイイ!!」のであります。≫ ≪まことにおっしゃるとおりです。 小生は63歳なので、子供の頃に灰色どころか、新聞紙に湿気を含めた紙を使用したのを鮮明に覚えています。≫ 脱墨を含む再生紙製造技術については、昭和興産のこちらのサイトの説明が、写真入りで分かりやすい↓ http://www.showakosan.co.jp/technica/wn_datsu.html 基礎篇はこちら。王子製紙の工場跡地にある「紙の博物館」(東京都北区)がまとめた「紙の講座」から↓ http://www.papermuseum.jp/kouza11.htm お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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