テーマ:中国&台湾(3305)
カテゴリ:台湾の玉石混淆
台湾のある高名なビジネスマンの略歴を見たら、“賓州大学”を卒業したと書いてあった。
聞いたこともない大学で、台湾人の同僚に 「賓州大学というのは、高雄か台中にあるのか?」 と聞いたら 「それはペンシルバニア大学です」 と言われて、またまた中国語の妙(たえ)なる世界に のけぞってしまった。 ペンシルバニア州は中国語で“賓夕法尼亞”州。 北京語ではだいたい「ピンシーファニヤー」という発音になります。 略して“賓州”だ。 アメリカ50州に関して日本語で使うこのての略語は「加州」(カリフォルニア州)くらい。 台湾の新聞を読んでいると“加州”と“徳州”は定番略語ですね。 ちなみに“徳克薩斯”州(「トォクゥサスー」に近い発音)のことです。 「テキサス」州であります。 ひょっとして米国50州全部が “○州” 式の中国語略語をもっているとしたら、“賓州大学” みたいなことで恥をかかないように一通り覚えておかないといけないかと青くなった。 さっそく手元の新聞で米大統領選の“歐巴馬”(オウパーマ)* 候補について書いた記事を読み返してみた。 (* オバマは“奥巴馬”(アオパーマ)とも書く。) 本文中に“徳州”がつかってあるが、その隣りに “俄亥俄” (ヲーハイヲー)州とか “伊利諾” (イーリヌオ)州とか “堪薩斯”(カンサースー)州とか、他の州名は略さず書かれていてちょっと安心した。 ところが油断は禁物で、“俄州”を中国語限定してグーグル検索してみると、「オハイオ州」の意味で使われた用例がぞろぞろ出てくる。 “俄州”などという単語を突然見せられたら、ひゃくぱーせんと、“俄羅斯”(ヲールォスー = ロシア)関連だと思ってしまいますなぁ。 “伊州”しかり、“堪州”しかり。 グーグル検索すると日本語の世界では「伊州」は「伊賀国」(いがのくに)だが、中国語限定にすると「イリノイ州」の意味の用例が並ぶ。 まさかと思った“堪州”も、「カンザス州」の意味の用例が中国語繁体字限定で 1910例、簡体字限定で 2,280例も出てきた。 日本人のなかで、“伊州”“堪州”を見て文脈なしで「イリノイ州」 「カンザス州」のことだと分かる中国語つかいがいたら、尊敬しちゃう。 とにかく、“夏州”とみれば「ハワイ州」のこと、“佛州”とみれば「フロリダ州」のこと、“密州”とみれば「ミシガン州」のこと……というくらいの勘は即座に働かさねばいけないらしい。 ことばはつくづく奥が深い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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