テーマ:政治について(20119)
カテゴリ:科学技術に驚く
思い出したのは、NHKが長年かけて開発していたアナログの「高品位テレビ」がデジタルの「ハイビジョン」に席を譲ったときのことだった。
デジタルコンピューターと通信が融合することが見えたところで、アナログの高品位テレビの負けは決まった。 しかし、せっかくの投資が無駄になるという「メンツ」の次元に議論は堕ちた。 アナログ高品位テレビの研究は、いっときずるずると続いた。 水素を使う燃料電池車も、アナログ高品位テレビのようなものではないかと思えてきた。 白金(はっきん)などの高価なレアメタルの使用が災いして、燃料電池車は1台1億円とさえささやかれている。 レアメタルの稀少性は増すばかりだから、燃料電池車というのは原理的に無理なのではないか。 6月7日の日経夕刊1面で、まったく別の発想の水素カーが紹介されていた。 コストの観点からも実現性に手が届く発明だ。 「水素を混ぜることでガソリンの燃焼性能が増し、二酸化炭素の排出量を減らせる」 という原理が出発点になっている。 ガソリンに3%だけ水素を混合すれば、通常のガソリン車に比べて二酸化炭素を約3割削減できる、とある。 どういう原理なのだろう。勉強してみたい。 既存の車をガソリン・水素の混合燃焼車へと改造する費用がわずか20~30万円というから、ちょっと行政が支援すれば爆発的に広まる可能性を秘めている。 カギになる「水素の運び方」も優れている。 液体水素を運ぼうとすると冷却コストがかかる。 だから、水素をトルエンなどと化合させて液体化した「有機ハイドライド」を車体に積む。 車体の底には小型の水素発生装置が装着され、車の走行時の廃熱で有機ハイドライドから水素を取り出しガソリンに混ぜる。 高価なレアメタルをつかった触媒によるのではなく、エンジン廃熱を利用するところがミソだ。 この有機ハイドライドが、ガソリンと同じようにタンク車で輸送でき、ガソリンスタンドで供給できるようなシステムを作ることも可能だ、というのも気にいった。 高度すぎないから、いまの社会システムをちょっと改造すれば受け入れられる発明。 こういうのを待っていたのだ。 日経記事によると、 ≪水素製造装置などを販売する フレイン・エナジー (札幌市)と北海道大学の市川勝名誉教授がいち早く実用化に着手。 岡崎市に拠点を置く伊藤レーシングサービスに委託し、自動車への適用を進めてきた≫ という。 革命より、漸進がいい。これはノリだ。 ぼくが商社の経営者なら、いかにしてこの技術応用に商社として食い込むか、担当部門に直ちに投資の伺いを書かせるね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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