テーマ:政治について(19982)
カテゴリ:科学技術に驚く
自動車を炭素繊維でつくる。
7~8年以内に量産技術を確立して、コストダウン。 車は4割軽量化。 きょうの『日本経済新聞』1面トップ記事は、すごいインパクトがある。 産業地図が一気に塗り替わることになるかもしれないということだ。 今後も永遠に鉄の需要が伸びることを前提に、鉄鉱石の鉱山や原料炭の炭鉱開発に巨額投資している商社だって、これからは炭素繊維とその原料となるアクリル繊維関連にカネを張っておいたほうがいい、という話だ。 鉄鉱石や石炭の価格が暴落し、鉄鋼関連の株が暴落し、東レや三菱レイヨン、東洋紡などの株が急騰する。 車の軽量化による二酸化炭素削減を、どういうかたちで「日本の成績」として国際社会に認めさせるか。 そこが政府の頑張りどころだ。 (↑Jul 24, 2008 08:18:44 AM) == 7月26日 追記 == 書いたものを後から見ると、鉄鋼株が即日暴落し、東レ・三菱レイヨン・東洋紡の株が即日急騰すると言っているように読めるから、こわい。 24日の朝には、10年がかりの産業地図の塗り替えの果てをイメージしながら書いていたのだが。 気になって、実際の株の動きを調べてみた。 7月23日終値 → 24日13:15 → 7月24日終値。 日経記事言及の、炭素繊維を共同開発する繊維メーカーの株: 東レ 562 → 585 → 589 三菱レイヨン 339 → 358 → 366 東洋紡 207 → 211 → 212 同じく日経記事言及の、炭素繊維共同開発参画の自動車メーカーの株: 日産自動車 832→835→842 ホンダ 3700 → 3790 → 3840 トヨタ自動車は共同開発企業に入れられていないが、記事のなかでは ≪車体軽量化はトヨタ自動車が車種ごとの数値目標を打ち出すなど各社の最重要課題に浮上。≫ という形で言及がある。 トヨタ 4870 → 5060 → 5120 なんのことはない、ここがいちばん株価を上げている。 いっぽう、鉄鋼株はどうか。 新日鐵 620 → 619 → 627 JFE 5650 → 5580 → 5640 後日の理解のため日経記事のリード部分を引用しておこう。 ≪東レや日産自動車、ホンダ、東京大学などは自動車向けの炭素繊維材料を共同開発する。 2010年代半ばをめどに量産技術を確立、車体重量の4分の3を占める鋼材のほとんどを新材料に置き換え現行車より最大4割軽い「炭素繊維カー」の実用化につなげる。 ボディーや部品の生産コストを鋼材製並みに引き下げ、車体の軽量化で燃費を約3割改善する。≫ 記事によれば、経済産業省が5年間で20億円をご支援たまわっちゃうそうだが、不要ではないか。 高い実現性・収益性が感じられ、錚々たる大企業が参画する本件に、補助金など要らない。 カネをどうしても出したいなら、無言で出資して配当収入を待っていてほしい。 なまじっか、ご支援たまわっちゃうと、共同出資会社側が何人もの官僚を高給+秘書+車つきで役員として迎えなきゃいけないんじゃないのかね、日本村の掟では。 共同出資会社側は、もらう補助金より官僚受入の負担のほうが大きくて、でも逆らえない…… なんてことが、とかくありがちだが、本件ではどうなのか。 24日の書き込みでも書いたが、経済産業省をはじめとする日本政府の役目は別のところにある。 民間が汗をかいてCO2削減につながる技術を事業化した際に、これをいかに日本国としてのCO2削減貢献の得点としてカウントさせるか。 これを多国間で交渉するのが、政府の役目だと思う。 いまどき、補助金など、邪魔である。 (↑ 補助金をもらいたい会社は、どうか反論してほしい。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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