テーマ:本のある暮らし(3294)
カテゴリ:ぼくの疑問符
『モリー先生との火曜日』 を数年前に読んだのが、自分が老人になったときのことを初めて考えたときだった。
モリー先生の語る話もしみじみ味わいがあったが、印象深かったのは彼が、思いのこもった自宅で手厚い介護を受けるべく資金を蓄えていたことだった。 これだけの境遇を確保するのはムリだなぁと思いつつ、まだ縁がないと思っていた 「自分の老後」 をおぼろに想像しはじめていることに驚いた。 わたしが読んだのは Tuesdays with Morrie: An Old Man, a Young Man, and Life's Greatest Lesson という英語版のほう。 すっと読み通せたのを覚えている。 いま調べたら映画にもなっていたことが分かり、DVDを注文してみた。 モリー先生の住んでいた家は、想像どおりだろうか。 (日本発売品の新品は売切れで、中古品が1万円以上のプレミアムつき。輸入版ならアマゾンで1,030円で買えるのでお知らせしておきます。) と、こんなことを書いたのは、3月18日の 『北國新聞』 コラム 「時鐘」 をご紹介したかったから。 秀逸なオチにうなった。 想像力の翼を最大限に広げるのも、とりわけ政治家の本分。 想像力を広げないのを 「若さ」 のせいにするのは、言われてみれば、はずかしい。 ≪先週の参院予算委で麻生首相ら主要閣僚が 「将来だれに介護してもらうか」 を語った。 介護福祉士の処遇改善に関連した質疑だった。 こんな脱線なら、たまにはいい。 母親の介護で知られた舛添厚労相は 「プロに」。 与謝野財務相は、夫人に面倒かけられないとして 「施設に」。 鳩山総務相は 「グループホーム」 を挙げた。 麻生さんは 「10歳下の妻より健康」 と はぐらかしたが、それも麻生流で面白かった。 各閣僚とも妻や子など家族を色濃くにじませながら最後は 「施設でプロに」 に落ち着いた。 制度を頼りにするのは与党政治家として当然かもしれないが、素直に 「妻や子に」 と言えない苦衷もあるのかもしれず、これもまた興味深かった。 「想像力」 と 「リアリズム」 は政治家にとって大事な2要素だ。 幸せに満ちた家族の行き着く先に 「介護」 という厳しい現実がある。 その道がまた難問続きの悪路である。 想像力の働かない政治家に長寿社会は任せられない。 還暦前の健康を理由に 「自分の介護は考えたことはない。まだ若いつもり」 と答えた塩谷文部科学相は、政治家としても確かにまだ 「若い」。 ≫ 50代のうちには蔵書を一堂にあつめた書庫のある棲みかを確保し、商社マン生活のあと教育の場に移って70代まで現役で働きたい…… とは願うけれど、体が思い通り動かなくなったときに 「書庫のある家」 に介護者に来てもらえるだけのおカネが貯められるものかどうか。 印税が入るロングセラーが書ければね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Mar 20, 2009 07:50:15 AM
コメント(0) | コメントを書く
[ぼくの疑問符] カテゴリの最新記事
|
|