テーマ:政治について(20123)
カテゴリ:日本の政治
文部科学省の研究会 (=ふつうこういう研究会の実態は、官僚側がまとめた決議案の てにをは を修正してお墨付きを与える数回の会議) が 「幼児教育の無償化」 を言い出した。
記事を見て、いろんな疑問が湧いた。 「ピンからキリまである幼稚園・保育園をすべて無償にするとなると、至れり尽くせりの幼稚園も、最低限の線をうろうろしている幼稚園も無償ということだが、補助金の額に当然、倍半分以上の差がつくだろう。 それが、今の行政の論理に堪えられるか」 「レベルの高い幼稚園に通わせている家族 (=相対的には経済に余裕のある層) に対して、そもそも補助金は不要だが、<幼児教育の無償化> をスローガンにするなら、補助金をたくさん享受できるのが富裕層だということになる。 嫉妬でうずまく社会の論理に堪えられるか」 「嫉妬への対処として行政は、<補助金を出す代わりに、園児の選定は試験をせずにクジで選べ> と言い出さないか。 コストをかけて良い教育をしている幼稚園に、平均的補助金額のレベルでできることだけやれと、とにかく <無償化> をゴリ押ししたりしないか」 ネット検索したら、専門家の立場からの意見具申もあった。 自民党の幼児教育小委員会ヒアリング資料のひとつ、全国社会福祉協議会・全国保育協議会の意見書 を読んでみた。 儀礼としての総論賛成のあと、各論が述べられていて興味深い。 無償化の旗のもと、保育所運営費の削減が強いられるのではないか、 幼稚園に合わせて 「保育所でも8時間のうち4時間は <教育活動> に充てよ」 という義務化がなされるのではないか、 などなど。 こういうレベルまで、ニュース報道も問題を掘り下げてほしい。 * 勤務先の若い人たちと話すと、 「今いる区では保育所がいくら待っても空かないので引越しを真剣に考えている」 という話まで聞く。 保育料の高さにもびっくりした。保育所に子供をやって共働きしても、そのうち1人分の月給がほぼ保育料に消えていきそうだ。 幼児教育への予算の増額は、総論賛成だ。 しかし、どうせ予算はすぐには増えないのだから、 まずやるべきことは文部科学省が研究会に言わせているような 「3~5歳児への教育の一律無償化」 の大風呂敷ではなく、とくに都市部での保育所の新設 (どこまで公的援助をするか大いに議論すべき) と思うが、 たぶん厚生労働省と文部科学省と国土交通省のどこが予算を管轄するかで永遠の綱引きをやっているのではないか。 財源をつけて、問題を市町村に下ろしてしまうべきだと思う。 保育所不足が深刻な自治体は、じつは大都市に集中していて、それぞれ自力のベストな解決ができるはずだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 20, 2009 08:17:48 AM
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