「たい焼き」 のことを韓国語では 「鮒(ふな)パン」 ということを知り、へぇぇッ!
韓国語では “プーゴパン”。
“プーゴ” が 「鮒」。
“パン” は日本語同様に外来語の 「パン」 である。
最近買った前田真彦(ただひこ)著
『前田式韓国語単語整理術』 (アルク社・刊)
の 91ページ、「面白表現」 の章に出ていた。
「立小便」 は “路上放尿 (ノーサンパーンニョ) ”
「5W1H」 は “六何原則 (ユッカウォンチク) ”
「時差ぼけ」 は “時差病 (シチャピョン) ”
などなど……。
だから外国語は、おもしろい。
それにしても 「鮒パン」 には、びっくりだ。
たい焼きを 「パン」 の一種と とらえる言語感覚は、日本語にはない (と思うのですが、どうでしょうね) 。
前田真彦さんは
≪ふなだとあまりおいしくなさそう?≫
と、一言コメントをはさんでいる。
鮒寿司はあっても、鮒パンはないだろう!
想像しただけで、色どりがよくない。
だが、大きさからいえば、たい焼きほどのサイズの鯛ではあまりにわびしい。
あのサイズの鮒がいたら、豪快な存在だ。
*
前田真彦さんはさらにコメントして
≪最近韓国でも人気のたこ焼きは ムノパン(原文はハングル書き) <たこパン>≫
と書いている。
“ムノ” は漢字なら “文魚” と書き、「ミズダコ」 のこと。
たこ焼きは、日本語の 「パン」 の概念からはさらに遠い。
日本語の感覚では、たこ焼きのことを 「たこ餅」 とは呼べても、「たこパン」 とはとうてい呼べない。
木村屋が たい焼きを売っても ぎりぎりで納得できるが、たこ焼きを売りはじめたら目が点になる。
たとえ、焼きそばパンを売っていたとしてもね。
どうも、韓国語の “パン” は、日本語の 「パン」 より融通がきく単語のようだ。
韓国語の “パン” のジャンルは、日本語の 「パン」 より広いということか。
*
Wikipedia で 「たい焼き」 の項で韓国語をクリックしたら “プーゴパン” へ飛んだ。
ところが 「たこ焼き」 の項から韓国語に飛んだら、見出しはハングルで “タコヤキ” と書いてある。
Google で “ムノパン” を検索すると 10,400件がヒットした。
1件目は ネット上で たこ焼きをつくるゲーム だった。
以下、ゲームもののサイトが多い。いかにもマイナーである。
いっぽう、ハングル書きの “タコヤキ” を Google 検索すると 9,350件がヒットした。
1件目が Wikipedia 韓国語版の“タコヤキ”記事 そのもの。
2件目はなんと、わが国の大阪市役所のサイトのたこ焼きレシピ だった。
タイトルは 「大阪の味を感じてみよう (オーサカエ マスル ヌッキョボジャ) 」。
5件目は、たこ焼きソングのビデオをアップしたブログ だった。
検索結果、件数では “ムノパン” が “タコヤキ” に勝利したが、サイトが充実しているのはどう見ても “タコヤキ” のほうだ。
……ここで気がついた。
日本語に由来する単語をハングルで綴るとき、いくつか別綴りが存在することがある。
“タコヤッキ” という綴りを発見したので、これで Google 検索してみると、なんと 49,200件もヒットした。
圧倒的勝利だ。
“タコヤッキ” の検索第1位のサイトは、「7 7 タコヤッキ」という業者のサイト だった。
(若干重いサイトですが、ぜひ開いてみてください。感動ものです。)
真っ赤なバンの荷台でたこ焼きを焼いて売るフランチャイズ。
本社の住所を見ると “慶尚北道 亀尾市” とある。
巡回販売用バンの赤い車体側面には、大きくひらがなとカタカナで 「おいしいタコヤキ」 と書いてある。
この姿で韓国の町を走っているわけだ。
販売時にはハッチバックを開き、「たこ焼」 と日本文字で書いた赤ちょうちんをつるす。
なかなかに日本の味を出していて、気に入りました。時代はここまで開けてきたということですね。
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「鮒パン」 に驚いたところから、ずいぶんな発見の旅をした。