文春新書『英語学習の極意』著者サイト
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(V)o¥o(V) というのがバルタン星人を表す顔文字 (わたしのオリジナルではありません、為念)。 蝉を擬人化したデザインとして、バルタン星人の右に出るものはない。 手が、ザリ蟹さんのハサミの形で、これが蝉のコンセプトを乱しているのを残念に思っていたが、 いや、 あれは、 地面から地下深く掘り進み、また地面へと掘り出でる 鋭く力づよい前足が、原点なのに違いない。 公園の木の幹の周辺の地面にぽつぽつと開いた蝉の穴は、蝉の体の大きさに比べてずいぶん深い。 地表ちかくの土が硬くても、木の根が縦横に這う地下の土壌は案外 すかすか していて、蝉が掘り出るときに土壌が陥没するのか。 地下で5年も10年も隠者のように棲息し、ここぞという夜に猛烈な瞬発力で地上に出て、休む間もなく変態する。 何年も蓄えたエネルギーを一気に消費する祭りに、ちいさな神さまを感じる。 1本の木の周辺に十幾つも蝉の穴が開く。 蝉の寿命を7年と仮定すれば、今年出てきた蝉の6倍の数の幼虫が地中に潜んでいるわけだ。 1本の木が地中に根を張り、そこに100匹ほどの蝉の幼虫が鈴なりにしがみつく様子を想像する。 * 『北國新聞』 のコラム 「時鐘(じしょう)」 によれば 「捕った蝉を放すと、お盆のころに恩返しに来る」 という言い伝えがあるのだという。 愛媛・松山では聞いたことがなかった。 そういう言い伝えのある地方は、日本のどの辺とどの辺なのだろう。 仏教の宗派とも関係があるのでは? 蝉は、いのち はかなし と思うから、盛大に鳴かれても退治しようという発想は毛の先ほども浮かばない。 もしも蝉が1年中ああして鳴く存在だったら、俄然わずらわしさに堪えかねて、あわれ、人間は蝉を殺虫剤で殺していたかもしれない。 『北國新聞』 「時鐘」 平成21年8月3日 ≪やっと梅雨が明けそうである。 街路樹や公園では、とっくにセミが鳴いている。 まだ街の騒音にかき消されそうだが、たがわずに季節を告げてくれる命である。 あまり見かけなくなったが、いまの子どもたちも、網を手にしてセミ捕りに興じているのだろうか。 ほかの昆虫とは違って、セミ捕りは、いささか後味が悪かった。 幾つもかごに捕まえて得意顔で帰ったが、翌日にはみんな死んでいた。 長い間地中で過ごし、短い夏の時間を鳴いて終わる。 そう教わって死んだセミが哀れになり、庭にセミの墓を作ったりした。 が、そうと分かっても、セミ捕りの誘惑には勝てなかった。 小さな残酷さを、夏休みに知った。 かわいそうだから捕るなと、しかる大人はいなかったが、捕ったセミを放すと、お盆のころに恩返しに来る、と聞かされ、みんな真に受けた。 芽生えた残酷さを、やんわりとたしなめる知恵が、周囲の大人にあった。 命のはかなさを知るのに、セミ捕りは格好の遊びだろう。 「いのちの教育」の教材は、まだいくらも身近にある。 夏休み帳だけが、子どもたちの夏休みの「宿題」ではないだろう。≫ = = 【平成21年7月下旬~8月上旬のブログ冒頭 (蝉の穴の写真入り)】 うちの前の公園のポプラが2本(と思いますが、ポプラとは違う品種だったら教えてください)、伸びて別の木の枝とぶつかり始めたので、人間さまの都合で切られてしまいました。 でも元気に ひこばえ が出て、けなげに葉を茂らせ始めています。 こちらが左側の木です。 黒いぽつぽつは、蝉の穴。数えたら、ぜんぶで10個ありました。 1年分だけで十数匹の蝉が、このポプラの恵みを吸いながら地中で育つ。 蝉の地中生育が7年とすると、ポプラの根にまとわりつく蝉の幼虫はその7倍の数で、たぶん70匹、80匹とあるのでしょうね。 いっぽう、こちらが右側の木。 青々と茂る葉っぱ。左側の木とどこがちがうのでしょうか。 太陽が雲から顔を出して、謎が解けました。 右側の木のほうが日当たりの断然いいところにあったのです。 歴然と、差が出ました。
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Izumi Yukio
10言語をモノにしながら得た語学のコツと、社会提言もいっぱい書いた熱い本を出しました。現代アートのコレクターとしても活動しています。ブログ本篇のほか、「美術館・画廊メモ」「観劇・観映・読書メモ」が好評です。
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