テーマ:中国&台湾(3305)
カテゴリ:台湾の玉石混淆
日本統治時代の台湾の民生向上に尽くした八田與一(はった・よいち)の生涯を描いたアニメ 「パッテンライ!!」。
このほど、ほとんどの場面を北京語と台湾語に吹き替えた台湾上映版が完成した。 (下に掲載した写真に写っているポスターを見ると、「八田與一」 が映画名のようだが、台北駐日経済文化代表処の報道では 「八田来了!」 が映画名だとある。ほんとは どうなのだろう、どなたかご教示いただければ幸甚です。) 台湾での特別試写会は、11月4日に台南市の台南県立文化センターで開催。国家元首の馬英九大統領も出席した。 (台北駐日経済文化代表処のサイト に報道があるので、ブログ後半でご紹介したい。) 11月9日には台北市でも試写会があった。 大紀元10月31日報道 によれば、李登輝 前大統領やジュディ・オングさんも出席の予定とあるが、実際に出席されたのか、わたしは確認できていない。 台湾各地での一般公開は11月13日に始まったそうだ。 * わたしも5月13日に、新宿でこの映画を観た。 そのときの感想をブログに書いている ↓ 八田與一を描くアニメ 「パッテンライ!!」 台湾の民生に土木技術で尽くした夢と快活 八田與一を生んだ金沢の 『北國新聞』 も11月11日に、コラム 「時鐘」 でこの映画のことを取り上げていた: ≪台湾全土で始まるアニメ映画 「パッテンライ!!」 上映の光景を、主人公の八田與一技師の長男・晃夫(てるお)さんに見てほしかった、と思う。 晃夫さんは3年前に死去した。 亡くなる少し前、長時間の取材をする機会があった。 晃夫さんがまず語った父の思い出は、小さな失敗談だった。 山中のダム建設現場は、娯楽に乏しい。 ある日、父がトラックいっぱいの荷物を運んできた。 「ラジオが来たぞ」 大がかりな装置が組み立てられたが、聞こえてきたのは雑音だけ。 周囲は落胆し、「おやじは何ともバツの悪い顔をした」。 子どもの記憶は、不思議である。 やがてラジオが聴けるようになったが、その時の喜びより、雑音に困惑する 「普段着の父」 の姿を強く心に刻む。 晃夫さんも、似たような戸惑いや屈託を抱いて、父母ゆかりの地の墓参を続けてきた。 「向こうの人は温かい。だけど、こっちは大陸ばかりに目を向けている」。 日台友好の声よりも、不快な雑音ばかりが耳に届く日々が続いたという。 最後の墓参に旅立つ前、「本当に長かった」 と述懐した。 苦労を重ねた分だけ、喜びはさぞ、と推察するしかない。≫ 心を結ぶ ちからのある映画だ。台湾での一般公開はまことに意義深い。 * 台北駐日経済文化代表処 (=台湾大使館) のサイト に、11月4日に台湾総統府が発表した報道があるので、記録も兼ねて転載させていただく: ≪馬英九総統が日本のアニメ映画 「パッテンライ」 の特別上映会に出席 写真左は八田與一氏の長男・晃夫氏(故人)の夫人、八田綾子さん。写真提供: 中央社 馬英九総統は11月4日夜、台南県立文化センターにおいて開催された日本のアニメ映画 「八田来了 (日本名: パッテンライ!! ~ 南の島の水ものがたり~ )」 の特別上映会に出席した。 上映前に行われた挨拶の中で馬総統は 「日本の土木技師、八田與一氏が台湾で烏山頭ダムと嘉南大シュウ(土へんに川)を建設した物語を背景にしたアニメ映画 『パッテンライ』 の上映会に招かれ光栄である。 八田技師は1920年から1930年に、10年間の歳月をかけて当時 アジア最大規模の烏山頭ダムを完成させた。 これにより、嘉南平原地域の水稲生産量は大幅に増大し、台湾の農民は現在でもその貢献に感謝し同氏を懐かしんでいる。 政府と民間は 『烏山頭ダム風景区』 に八田與一紀念堂を建設し、八田技師がダム建設を指導していた時の関連する写真およびその人物紹介などの貴重な資料を展示しているほか、毎年5月8日の八田技師の命日には慰霊祭も行い、その功績を記念しており、私もこれまで3回訪れている」 と述べた。 馬総統はさらに 「今年9月末に台南芸術大学と台湾の学術界、文芸界、農業界さらには日本の文化界の各関係者が一体となり、『烏山頭ダムの世界遺産登録推進連盟』 を組織し、『日本が提出し、台湾が協力する』 の方法で、国連にこの烏山頭水利システムが世界文化遺産に登録されるよう提案申請していくことになった。 私はこの活動の推進はきわめて意義があると認識している」 と強調した。 続けて 「烏山頭ダムは北回帰線にきわめて近い北緯約 23.5度の位置にあり、世界地図からはこの緯度に近い数多くの場所はいずれも沙漠であることが見てとれる。 当時の烏山頭ダム付近もその多くは乾いた耕地であったが、後に八田技師の努力により多くの水田になったのであり、台湾の農民は大いに感謝している。 また、八田技師の人柄も実直で善良であり、台湾人の性格と近いものがある。 同氏は台湾人に対しても一視同仁とし、これも皆 非常に感謝して懐しんでいる点である」 と紹介した。 また 「この映画は今年5月に日本でロードショー上映され、非常に好評を博した。 今年11月から台湾での公開上映されることになるが、より多くの人がこの機に八田技師の南台湾ひいては台湾への貢献を理解することを希望しており、これが中華民国と日本の各方面での密接な関係をより一層発展させる重要な礎となるようにも願っている」 と期待の意を示した。 馬総統は同映画鑑賞後、 「このアニメ映画は、日本人の子どもと台湾人の子どもの友情を通して、八田技師が当時、烏山頭ダムと嘉南大シュウを建設した過程を描いたもので、非常に感動した。 実際の上でも多くの人々が八田技師の貢献について、よく耳にし理解しているが、この映画は同氏の人柄をより一層際立たせている。 なぜなら同氏は台湾人に対しても一視同仁とし、何ら偏見はなかったからだ。 これは同氏が人を分け隔てなく救うことを強調した宗教的な信仰と関係があるのであろう。 これも台湾の農民が同氏に対してきわめて感謝し懐かしんでいる理由の1つである」 と感想を述べた。 馬総統はさらに 「私は2年余り前に八田技師の業績について深く理解し、感動した。 八田技師の旧居について、政府は現在八田與一紀念パークの設立を計画しており、できるだけ早く同氏の旧居が復元され、多くの人々が八田技師の業績を理解するよう願っている」 と強調した。 【総統府 2009年11月4日】 ≫ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 23, 2009 12:19:31 AM
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