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Jan 5, 2010
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カテゴリ:日本の政治
 年末年始は、部屋の隅におかれた数年間 開かずの段ボール箱 3箱を片付けるよう、わたしの女から厳命を受け、わたしの部屋は紙とスクラップブックと本が散乱して収拾がつかず、急遽 娘の子供部屋に布団を敷いて寝るハメに。

 でも、若い女の子のうちにお泊りに来たような気がして (おいおい、自分のうちだろうが!) 心がなぜか うきうきしたのであります。

 1月3日に配信したコラムをご紹介します。
 目下、約 7,500名のアドレスに無料発信しています。メルマガ読者登録していただけるとうれしいです。

(↓ こちらで 「まぐまぐ」 読者登録ができます)
http://archive.mag2.com/0000063858/index.html


◆◆ 元旦社説読み比べ (平成庚寅年1月3日) ◆◆


 恒例の、元旦社説読み比べ。例年、毎日新聞社説を高く評価してきた。
 ことしは1面左上に主筆の菊池哲郎さんが年頭の言を書いている。

 飄々が天に突き抜けたさわやかさ。ああ、例年の名調子はこのひとの筆だったか。

≪スーパーマンはいないのであり、必要でもない。それを求める風潮は危険でありお任せ主義の責任放棄に結びつく。

ドジを踏み悩みながらも一緒に成長していくリーダーを、われわれ自身がはぐくんでいくのが民主主義ではないだろうか。そのための情報公開であり、仕分けに象徴させた決定過程の透明化だ。

ここは誰か他人の国ではない。われわれが住むところだ。そこのトップはそこに住む住民を映し出している。≫

≪民主党が政権維持に汲々(きゅうきゅう)とする姿を見たいと思って我々が多数を与えたのではない。
違った顔ぶれで課題に挑戦するさわやかな政治を見たいからだ。≫

≪景気は気。政治が見せるさわやかな気が景気上昇をもたらす。
失敗したら次の選挙で負ければいいのである。それだけのことだ。≫

 まるで老子の 『道徳経』 を読むようなさわやかさがある。

 しかし筆が滑ったか、鳩山由紀夫氏を評して
≪一朝一夕には育たない。彼も初めてやっているのだ。≫
と書いたのは甘すぎる。一気にしらけた。

 毎日社説本篇は、筆者交替のせいか凡庸だ。

■ 調整インフレしか手がないはずだ ■

 日本経済新聞は将来課題の列挙に終わった。経済紙なら、もう一歩踏み込んで経済政策の方向づけを語ってほしかった。

 社説を読むだに、年率3~5%の調整インフレ創出へ向けて国民自身が覚悟を決める以外に道はないと思うが、日経はそれを語らない。
 政権の背中を推すことばが欲しい。

≪財政や社会保障で若い世代ほど負担が重くなる。

5年前の経済財政白書によれば、60歳代以上の人は、生涯を通じて政府に払う税金や社会保険料よりも、政府から受け取る年金給付や医療保険の補助など行政サービスが 4,875万円多い。

一方、20歳代は受け取りが支払いより1,660万円少ない。両世代の差は約6,500万円にもなる。≫

≪増税や年金給付の削減などの改革をしなければ、100年後に生まれる日本人たちは、今の貨幣価値で 2,493兆円もの公的純債務を負う (島沢 諭 秋田大准教授の試算)。≫


 ……と言われても、ふつうのひとは茫然自失。

 日経よ、正直に処方箋を示せ。数字の蟻地獄から抜け出すには、額面の帳尻合わせの魔術しかない。

 ゆくゆくは物価を2.5倍にし、名目賃金を2.2倍にし、政府の歳入の額面を倍増させ、旧世代へ約束した年金額の額面は維持しつつ価値を目減りさせて、帳尻合わせをするしかないだろう。

≪現世代が解決策を出すべきだ。景気が持ち直した後に実施できるよう準備を急ぎたい≫ と言うや良し。

 調整インフレ政策を真剣に実施せよというところまで、踏み込んで語ってほしい。

 言っておくが、徴収した消費税を国債の返済に当てるというのは、経済を縮こまらせるだけの最悪の政策である。

■ 米国はまったく困っていない ■

 朝日新聞は、これまでの無責任な反米路線へのいささかの反省が感じられる日米同盟肯定論、に見える。

≪より大きな日米の物語を≫
≪同盟という安定装置≫

などという見出しを見て、朝日も少しはまともになったかと、だまされるバカがいる。

 全然まともになってません。

 朝日の社論のボタンの掛け違いは、たとえばこういう無理なこじつけから始まる。

≪米国にとって、アジア太平洋での戦略は在日米軍と基地がなければ成り立たない。
日本の財政支援も考えれば、安保は米国の 「要石(かなめいし)」 でもある。

日本が米国の防衛義務を負わないからといって 「片務的」 はあたらない。≫


 これを書いた論説委員を公開討論の場に呼んで、なぜ 「片務的」 でないのか語るだけ語らせて、吊るし上げてみたいね。

≪いま日米両政府が迫られているのは、これらの問題 (=普天間や “密約” 問題) も直視しつつ、日米の両国民がより納得できる同盟のあり方を見いだす努力ではなかろうか。≫
 
 あのね、米国政府はまったく何も「迫られて」ません。米国民もまったく関心がありません。
 小沢政権が勝手に騒いでいるだけ。

 普天間基地問題?  日本側が決断しない限り、現状のままでしょ。米国は何も
困らない。

 “密約”問題?  米国は、軍事政策上この問題に全く関心がない。
 通常兵器の精度が向上したので、日本に寄港する米国の空母・駆逐艦・原潜などに核兵器は搭載しないと、米国政府は平成4年に わ ざ わ ざ 発表している。
(ということは、平成4年以前はどうだったか、誰でも想像はつく。)
 その段階で、米国にとっては「済」なのである。

 朝日社説は言う。

≪世界の戦略環境をどう認識し、必要な最低限の抑止力、そのための負担のありかたについて、日米両政府の指導層が緊密に意思疎通できる態勢づくりを急がなければならない。≫

 「日米」を「韓米」に変えれば、そのまま盧武鉉(ろ・ぶげん)政権時代の韓国の新聞社説に使えよう。
 語るに落ちるとはこのことで、朝日新聞が欣喜雀躍(きんきじゃくやく)した民主党政権の本質がみごとに物語られた。

■ 大連立、いや、部分連合 ■

 読売社説は例年どおり重厚で、日本の課題を過不足なく語った。

 いかにも読売らしいのが、いわゆる民主党と自民党の大連立 (あるいは大連立もどき) を示唆したところ。

≪国の命運がかかり、国民生活の基盤が左右されるような重要政策・法案の成否に当たっては、野党とも提携する 「部分連合」 や、大胆な政界再編による 「挙国政権」 づくりをためらうべきではない。≫

 普天間基地移転先にせよ、消費税率引上げにせよ、民主党・自民党が本気で連携すれば実はたいていの問題はいい方向にまとめられる。

 自民党が妙に静かなのは、単に 「野党慣れしていない」 からではなくて、小沢一郎なき後の民主党との連携を夢想しているのではないかと、わたしには最近そう思えてならない。

■ 棘(とげ)の多いアザミの地 ■

 厳しい現実に正面から向き合おうと求めたのは唯一、産経新聞の年頭の言であった。

≪イスラエルの政府機関は、自国民になることを希望する人たちにこう呼びかけたという。

「われわれは諸君にバラの花園を約束しない」。

この一文に野生のアザミの写真が添えられている。≫

≪イスラエルの国民を待っているのは薔薇の花園ではなく、とげの多いアザミの地。
厳しいことをあえて言わなければ、国家と国民が生き残れないからだろう。≫


 産経は、日本書紀の話を引いた。7世紀後半の、志ある一兵卒の話。

 白村江(はくすきのえ)の戦(いくさ)で唐の捕虜となった大伴部博麻(おおともべの はかま)は、唐による日本侵攻の計画を知るや、自らをカネで売って奴隷に身を落とした。
 自分が奴隷となることで得られたカネで、4人の仲間を日本へ帰国させ、危急存亡の事態を祖国に知らせたのである。

 わたしがこの話をはじめて知ったのは、キリスト聖書塾が発行する月刊 『生命の光』 誌上だった。
 そのとき、涙がぼろぼろと止まらなかったのを覚えている。

■ 野党に代わり地方首長が中央政治の牽制役に ■

 さて、読むに堪えない東京新聞 (=中日新聞) の社説は脇に捨て、今年は北陸金沢の 『北國新聞』 社説を取り上げる。

 北國新聞の社説やコラムは、わたしのブログでも頻繁にご紹介している。
 地に足のついた論説を展開する保守系の地方紙で、わたしは高く評価している。

 元旦社説は、
「<地域主権> 元年   <首長の時代> 迎える覚悟を」
と題した。

≪政権交代によって、自民党議員の力を借りて国の予算をもぎ取ってくる 「利益誘導型」 の政治システムは、もはや機能しない。

石川県、富山県の首長は、昨年末の予算編成で、国と地方のパイプ役を事実上失った心細さが骨身に染みたのではないか。≫

≪地方の声を首長が代弁し、国に物申す場面は、昨年末、子ども手当をめぐる論議でも見られた。

鳩山由紀夫首相が地方に一部負担を求めたのに対し、全国の知事が一斉に反発し、支払い拒否も辞さない態度を示した。
「地方負担」 の押し付けは、地域主権の確立を目指す民主党政権の理念と違うではないか、という批判である。

マニフェストを逆手に取って政府に立ち向かう知事の発言力は、もはや野党の有力幹部をしのぐ。
鳩山政権は、野党の批判を知らぬ顔で受け流せても、地方から発せられる声を無視できなくなっている。≫


 自民党が異議申し立ての基本的機能すら発揮せぬ現状では、まさしく知事や市長に小沢政権の牽制役を大いに果たしてもらわねばならない。

■「地域主権」のお題目の化けの皮 ■

 北國新聞の社説後半では、民主党が 「道州制」 に冷淡であることをプラスに評価しつつ、軽率にも、民主党のいう 「地域主権国家」 というお題目を讃美している。

「道州制」のことはわたしも問題視しており、拙著 『日本の本領(そこぢから)』 にも詳しく述べたとおり。

 道州制が遠のくのは確かに結構なことだが、問題はそもそも民主党政権の振る舞いが 「地域主権」 とは程遠いことだ。

 関東地方の全ての県・都がこぞって推進の意思を再確認した八ツ場(やんば)ダムを見よ。
「地域主権」 なら、県・都の意思が勝つはずだ。ところが現実には、小沢一郎氏への貢ぎ物がなかった案件だからだろう、強引に建設凍結に追い込まれた。

 ここに小沢政権の本質が端的に示されている。

 小沢一郎氏への貢ぎ物があったからか、東北地方のダムは建設続行だ。
 民主党の 「地域主権」 とは、所詮そんなものである。

 天下の北國新聞が、民主党のお題目に幻惑されては困る。





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最終更新日  Jan 5, 2010 08:11:23 AM
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