テーマ:政治について(20115)
カテゴリ:日本の政治
横車人事を他人に祝ってもらえないものだから、自分でご祝儀相場を作るとは、世話ァない (=処置なしだ)。
わたしが今はたらく部署は円安のほうが当期純利益が上がるから、適度な円安は歓迎ではある。 しかし、円安誘導の口先介入は何度も使えるものではない。伝家の宝刀だ。 円相場が1ドル85円を割ったときに使うのなら分かるが、1ドル92円のときに宝刀を抜いてどうする。 「1ドル90円台の半ばが望ましい」 という具体的数値まで挙げたことで、見識の薄弱さも見せつけてしまった。 想像してみよ。ほんの少し前、相場が1ドル85円をつけていた頃だったら、さすがに 「1ドル90円台の半ば」 は口にしないだろう。 その状況で10円も円安の相場を口にしたら、ピエロになってしまう。 おそらく 「1ドル90円台が望ましい」 という言い方だったはずだ。 逆に、1ドル100円を割る円安になったとき、記者会見で 「就任時のご発言のとおり、1ドル90円台の半ばがいいと思うか?」 と聞かれたとき、愚かな菅直人財務相は何と答えるつもりか。 Yes といえば、円高誘導発言になってしまう。 No といえば、根拠なき発言のブレを自らひけらかすに等しい。 だから 「ノーコメント」 と言うしかなかろう。 確たる根拠もなく 「1ドル90円台の半ばが望ましい」 と具体的数値に踏み込んだ軽率発言をし、けっきょく将来の自分を袋小路に陥れた。 四半期末の為替相場が大事な意味をもつ企業が少なくない。四半期末の米ドルレートで会計上の損益を計算するからだ。 年度末の為替レートは、とりわけ大事な意味を持つ。 1月も半ばというこの時期なら、年度末の円安誘導に向けて作戦を練るのが政府の智慧というものだ。 その対極にある財務相のタイミング無視。 こういう大臣をおだててはいけない。 『北國新聞』 は1月9日の社説で小沢政権に媚びている。いわく、 ≪菅直人財務相が就任会見で、適度な円安が望ましいとする見方を示したのは、前任者の 「円高容認発言」 を完全に払拭(ふっしょく)する狙いがあったのだと思いたい。 市場参加者の間では、民主党は内需主導型経済を目指す関係で、円高容認の姿勢が強いと受け止められている。 そうした見方を否定するために、菅財務相があえて踏み込んだ発言をしたのだとすれば、大いに意味はある。 鳩山由紀夫首相は、菅財務相の発言に対して 「政府としては基本的に為替に関しては言及するべきではない」 と苦言を呈した。 もとより、為替相場は市場が決めるべきもので、首相の発言は正論に違いない。 だが、世界経済は金融危機の後遺症が重く、「病み上がり」 の状態にある。 万一の時、教科書通りの対応では、想定を超える現実に振り回され、対応が後手に回る懸念がある。≫ すでに前任の藤井裕久大臣の円高容認発言の影響は市場から去り、1ドル92円の相場をつけていたのだ。 今さら 「前任者の 「円高容認発言」 を完全に払拭(ふっしょく)する狙いがあった」 と見るのは、外れている。 値千金の大砲の弾をムダ撃ちした罪は大きい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jan 9, 2010 12:25:00 PM
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