僭主(せんしゅ)小沢一郎氏の側近3名の逮捕は、人命を救いたいという検察の温かい親心だ。
目下あの3人は、自殺させられる あるいは自殺と見せかけられるかもしれない典型的状況じゃないか。
人命第一の観点から言えば、もっと逮捕者を増やしておいたほうがいい。
民主党幹部らが検察を批判しているが、万一のことが起きたら真っ先に疑われる人たちこそ、検察の親心あふれる逮捕措置に感謝するべきだろう。
◆ 鈴木宗男氏の来賓挨拶 ◆
1月16日の民主党定期党大会の、ごく一部をテレビで見たら、鈴木宗男氏が来賓挨拶で検察の 「暴走」 を批判していた。
これに会場からヨイショの掛け声が掛かり
「検察を 事 業 仕 分 け しろ!」
大会出席の民主党員らは、この掛け声に万雷の拍手。
鈴木宗男氏は上気(じょうき)しながら
「そう! そうなんですよ」
と人差し指を振り上げ、これに会場はますます沸いた。
民主党を軽蔑しきっているわたしも、さすがに驚いた。
ばらばらであることが取り柄 (?) でもあった民主党が、かくもみごとに正真正銘の全体主義政党として脱皮するとは。
指揮権発動も可能な与党の民主党の幹部党員らが、公権力をチェックする機能をもつ機関を 廃 止 せ よ という野次に万雷の拍手を送るとは。
背筋が寒くなるとは、こういうときに使う。
◆ 一枚看板の 「事業仕分け」 に泥を塗る ◆
ショーとして行われた 「事業仕分け」 には、公平に見て妥当だったものも散見する。
(屋山太郎さんも産経新聞の正論欄で言及した、下水道事業 (総額 5,188億円) の国交省から地方自治体への移管など。下水道事業は、一律の規格をやめて地域の実情に合わせれば大きなコスト削減が見込めるそうだ。)
わたしは 「事業仕分け」 ショーの軽薄さを嫌悪するが、世論調査では評価が高かった。
民主党としては、大切にしてゆくべき宝刀だろう。
ところが
「検察を事業仕分けしろ」
という異常な掛け声に民主党大会が万来の拍手が重なるとき、わたしの耳には
「検察を ポ ア し ろ 」
という犯罪集団の隠語に聞こえた。
◆ 「他人事(ひとごと)です」 と聞こえた ◆
いっぽう、小沢政権の尻尾(しっぽ)である鳩山大臣の発言
「小沢氏を信じています。どうぞ戦ってください」
は、文字に起こすと
「検察は不当だから戦うべき。最後は指揮権発動して検察を止めます」
という宣言に等しいのだが、
テレビから流れる鳩山大臣の口調は
「わたしには関わりのないことですから、勝手に戦ってください」
というふうに聞こえた。
鳩山大臣にとっては、他人事なのだろう。うらやむべく、しあわせな人だ。