テーマ:美術館・博物館(1556)
カテゴリ:美術館・画廊メモ
画廊めぐりの蠱惑(こわく)に目覚めてしまった。
銀座一丁目9-8の奥野ビル。 まるでマンハッタンの場末の路地裏のビルに迷い込んだような、ぞくぞくさせる場所。 昭和7年竣工当時は 「銀座アパート」 といった。ワンルーム マンションの走り。 今では各室に画廊や事務所が入っている。 ここを住まいとした最後のかたは306号室の住人で、平成20年に100歳で亡くなられた。 銀座アパート竣工まもなく306号室で 「スダ美容室」 を開店。昭和60年代に廃業してのちも、そこに住んでおられたという。 いまの306号室 入り口 家財道具の片付け後、内装がそのまま小さな廃墟となっている。 少しずつ朽ちつつあるままにこの部屋を残す、静かな試みが行われている。 アーティストが床に写真を撒きました 美容室の名残、3枚の円い鏡 電話置き場も絵になる風情あり さしあたり2月13日まで 「306プロジェクト 加藤恵美子展」 会場として部屋が公開されています。 * 同じ奥野ビル205号室の 「ギャラリー La Mer」 は、いのうえ れい さんがシルクスクリーン展 (2月13日まで)。 やなせたかし さんの絵のような ほのぼのとした童画ふうの作品や、シンプルな雪景色など、いい色を出していた。 8日が初日だったので、作家の いのうえ さんご自身がおられたので、率直にほめてさしあげた。 画廊って、こんなふうに しあわせがどんどん増えてゆく場所なんだ。 いっぽう、507号室の 「Gallery 銀座フォレスト」 では高橋カナ子展 (2月13日まで)。 展示作品の 「水槽 (ひきこもり) Inner World」 というペン画に魅せられてしまい、3万円で購入即決。 画廊のご主人が気さくな かただった。これから親しくさせていただこうと思った。 * このすてきな楽しみに導いてくれたのが、山本冬彦さんの 『週末はギャラリーめぐり』 (ちくま新書) だった。 82ページの 「画廊めぐりのルールやエチケット」 がたいへん参考になった。 ≪通常は「こんにちは」と軽く会釈して入っていけばよいと思います。 既にほかのお客がいる場合は無言で会釈して入るのがいいでしょう。≫ ああ、そういうことだったのか。 これまで、その辺の店に入るのと同じ感覚でいたが、それでは浮浪者になってしまう。 ひとさまのお宅にお邪魔するのだと思えばいい。 ≪画廊を出る前にはぜひサイン帳に署名をしてあげてください。 作家にとって個展を開くということは、自分の画歴に残る重要なものであり、どれだけの人が来てくれたか、誰が来てくれたかの大切な記録になるからです。≫ ぼくごときが署名をするのは恐れ多いことと思って遠慮していたのだが、そういうことだったか! このアドバイスのおかげで、2月8日の画廊めぐりでは随所で署名させていただいた。 作家さんたちを鼓舞するちからになるのであれば、署名もまた楽しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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