テーマ:政治について(20119)
カテゴリ:日本の政治
『人間を幸福にしない日本というシステム』 (“The System That Makes Japanese Unhappy”) で一時期注目を集めたカレル・ヴァン・ウォルフレン (Karel van Wolferen) 氏が、日本の民主党政治を絶賛しているのには、あきれた。
ヴァン・ウォルフレン教授いわく、 「革命に等しいことが起きている。鳩山政権の半年は、オバマ政権の1年間より多くの変化をもたらした。 最も強固な官僚の砦となっている財務省から、予算編成の掌握力を奪い取れるかどうかが、新政権の次なる試練だ」 Martin Fackler 記者の Hatoyama bangs away at bureaucracy( 「鳩山政権、官僚制に打撃」、3月25日 『ヘラルド (IHT) 』 紙) という、民主党への提灯記事に紹介されていた。 わたしに言わせれば、 全体利益よりも民主党の党派的利益を優先させる予算を組み、そのツケで国債を増発することとなり、その処理のために ゆうちょ銀行 の安定肥大化を目指すというプロセスは、まことにスジが通っているが、後ろ向きの変化でしかない。 『北國新聞』 3月25日の社説に同感だ: ≪郵政改革法案 懸念される官営の肥大化 政府が示した 「郵政改革法案」 の骨子は、小泉政権が進めた民営化路線を転換する内容であり、「官営企業」 の肥大化によって民間金融機関が大きな打撃を受ける懸念がある。 ゆうちょ銀行が持つ貯金残高は北陸3県で約5兆円に上り、このほとんどが国債購入に充てられている。 ゆうちょ が県民の貯蓄資金を吸い上げると、民間金融機関の融資姿勢にまで影響が及ぶのではないか。 ゆうちょ銀行への預け入れ限度額が現行の1,000万円から2,000万円、かんぽ生命の保険金限度額を現行の1,300万円から2,500万円へ引き上げられると、日本郵政グループの経営は確かに安定するだろう。 政府出資比率が3分の1を超える実質的な 「政府銀行」 の信頼度は民間の比ではなく、郵便・貯金の全国一律サービスを維持するという法案の目的は達成されるかもしれない。 だが、その代償は決して小さくない。 そもそも郵政改革は、簡保を含めると個人金融資産の3分の1を占めていた巨大官業を民営化し、市場メカニズムにゆだねることにあった。 国債や財政投融資などを通じて、公的部門に流れていた資金を民間部門に流し、国民の貯蓄を投資に振り向けることで、経済の活性化につなげる狙いだった。 しかし、「官から民へ」 の流れを逆転させる法案が成立すれば、元のもくあみになりかねない。 民間と対等な立場で競争し、より効率的なサービスを提供するとした民営化のメリットは失われ、公社時代の 「見えない国民負担」 を最小化するとした目的も果たせない。 逆に民間金融機関の経営を圧迫し、法人税収の減少を招く可能性も考えられる。 亀井静香郵政・金融担当相は参院財政金融委員会で、 「国債を安定的に引き受ける、そうしたメガバンクを新たに作るつもりは全然ない」 と述べた。 だが、ゆうちょ には融資のノウハウがなく、資金運用の人材もいない。 資金が増えれば、国債を買うだけしか手がないのではないか。 政府から見れば、国債の引受先が増える安心感はあるだろうが、国民の利益につながるとは考えにくい。≫ いまや、ゆうちょ のトップはもとの大蔵官僚だ。 この最高位の天下りがあるから、短期的に天下り先が減らされても財務省官僚は文句を言わずに、むしろ民主党政権のもとで肥大化を図っている。 事業仕分けショーのシナリオ書きも、財務省官僚が得た新たな利権のひとつ。 官僚の砦、財務省には、ちゃんと餌を与えているわけだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Mar 25, 2010 09:10:39 AM
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