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Apr 26, 2010
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カテゴリ:日本の政治
 「事業仕分け」 の 「言い渡しショー」 が再開した。

 4月23日には、国土交通省が所管する住宅金融支援機構の 「街づくり」 関連事業 (平成22年度予算 4,037億円) が廃止と判定された。

 財務官僚に筋書きを作らせ、民主党の看板議員が大根役者ぶりを発揮する 「事業仕分け」 を評して、
「これまで密室で議論されたものが、公開の場で議論されるようになったのは進歩だ」
などと、したり顔で言う向きがある。

■ 15分で何が議論できるか ■

 議論が 「議論」 として成立するには、適切な時間配分が必要だ。

「まちづくり」 関連事業の議論に充てられた時間は、住宅金融支援機構の他の2事業とあわせて、3つの事業で4月23日の午後4時15分から午後5時まで。
 4月23日のスケジュールを見ると、3事業の合計でわずか45分だ。
 1事業あたり15分。

 会社生活を思い返しても、原局の部門が言い分を説明するだけで30分など、あっという間に過ぎる。
 予算 4,037億円の事業の審議から結論まで15分で済ませるという時間配分じたいが、「事業仕分け」 というショーのおふざけぶり、傲慢さを端的に示している。

 事業仕分けをまじめに行いたいなら、まずは1事業あたり少なくとも1時間半は時間をかけるべきだ。
 賛否両論の説明資料をウェブ上に公開して民間の意見も求めたうえで後日あたらめて結論を出すべきだろう。

■ ショーの目的はむしろ 「議論の封殺」 だ ■

 現状のやりかたでは 「結論ありき」 なのは、バカでも分かる。常識で考えて、十分な議論のすえの結論を15分で出せるわけがない。

 いっそ 「結論ありき」 なら、ショーなどやめて内閣府行政刷新会議なりの審議結論をいきなり文書で発表すればいい。そこを出発点にして実(じつ)のある議論が始まろう。

 じつのところは
「公開の場で議論した結果です」
という殺し文句を言うために1事業あたり、たかだか15分の時間を割いて その後の議論を 封殺するのが、 事業仕分けショーの目的であるに違いない。

 こういう政治ショーを肯定評価する論者の浅薄さには恐れ入るばかりだ。

 住宅金融支援機構の 「街づくり」 関連事業例 を見ると、ごたごたした街並みを 「街づくり融資」 をつかって見違えるような集合住宅へと一新したケースもあるようだ。

 会場で原局がこれを紹介し質疑応答するだけで、おそらく30分はかかるだろう。これに民主党の議員諸氏らが反論するのに20分。討論するのに40分。1事業あたり少なくとも1時間半はかけたいところである。

■ 秋山兄弟の生家ちかくの街づくり ■

 わたしが「街づくり」というキーワードに反応した理由は、『坂の上の雲』 と関係がある。

 秋山好古(よしふる)・眞之(さねゆき)兄弟の生家が、民間有志の拠出金で復元されているが、その近くの商店街が国土交通省の 「まちづくり交付金」 によってみごとに生まれ変わった。

平成21年3月28日のブログ に、こんなことを書いた。

≪松山市。三越デパートのある一番町交差点から、松山城ロープウェイ乗り場へゆっくりと坂道がのびている。

「ロープウェイ街」 と呼ばれる商店街。うどん屋と和楽器の店と骨董屋が同居する。
中ほどの路地を右に折れれば、秋山好古・眞之兄弟の生家に至る。

いまのロープウェイ街は、むかしを知るひとには「馬子(まご)にも衣装」の感もある。

電線が中空に絡み合い、店頭も煤(すす)けていたのが、今はどうだろう。
電線を地中化し、道路は1車線化して歩道を拡げた。店々のファサードは色合わせし、楕円形のかわいい看板を吊り下げた。

まるで、昔からこんな趣きの道でしたという顔になっているから、不思議だ。

秋山兄弟の生家の復元に、一部勢力の反対で1円も出せなかった松山市。さぞや松山市長も無念だったろうと思うが、このロープウェイ街の整備には予算をつけることができた。
ネット検索してみたら、松山市役所の平成19年3月の予算資料の3ページに
「ロープウェイ街 (一番町東雲(しののめ)線) 景観整備事業」
ということで 5,208万5千円の予算がついていた。

「まちづくり交付金」 という国土交通省の制度を利用した。

このサイト ↑ を開くと、ページの下のほうに ビフォー & アフター の写真が並べてある。
整備後の写真を見ると、まるで昔からこんなふうだったかのような風情。伝統は創るもの、である。

景観が整備されると、豊かな気持ちになれる。住んでいる町への愛がかきたてられるからだろう。
街の景観整備を競い合う21世紀になればいい。≫


■ テレビ番組を待望する ■

 じつはこの国土交通省の 「まちづくり交付金」 制度は、昨年の事業仕分けショー第1弾で 「地方自治体へ移管」 となった。
 事業を 「移管」 するといっても、財源も移管されたとの話は聞かない。要は、制度ごと廃止されてしまったわけだろう。

 ご紹介した松山市のような成功例があるだけに、事実上の制度廃止だとしたら惜しまれる。

「街づくり」 関連は、テレビで絵にしやすい題材だ。成功例も失敗例も、撮影できる街並みがそこにある。
 事業仕分けショーによる一連の制度廃止が妥当なものなのか、関係者を集めて事業の実態を紹介するテレビ番組を作ってもらえないだろうか。

 4,037億円の予算でいかなる 「街づくり」 をする予定だったのか、15分番組をつくってくれないか。

 いきなり制度を廃止するのではなく、制度は残しつつ金額を見直すという方法があったはずだ。もちろん、それをやるには15分の審議時間ではとても足りない。



(注) さらっと読んで混乱された方もあるかと思い、念のため整理しておきます:

・昨年の 「事業仕分け」 第1弾で廃止 (地方自治体へ移管) の対象とされたもの: 国交省本体からの 「まちづくり交付金」 (松山市のロープウェイ街の一新は、こちらの資金を利用)
・今回の 「事業仕分け」 第2弾で廃止の対象とされたもの: 住宅金融支援機構の「街づくり融資」 (予算額 4,037億円は、こちらのほう)

繰り返しになりますが、小型の原子力発電所が1つ建てられるほどの巨額の 4,037億円もかけてどんな 「街づくり」 が想定されていたのか、興味津々。
制度に賛成するにせよ反対するにせよ、15分で済む話ではないでしょう。

4,037億円のうち、いかほどが、公務員・準公務員への給与部分なのか。
制度をなくしても、それに関わってきた公務員・準公務員を路頭に迷わせるわけはない。その人たちが1年後にどういう業務に携わるだろう。
そういうことを、メディアにはしっかりフォローしてもらいたいわけです。





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最終更新日  Apr 27, 2010 07:56:56 AM
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