女子美大の日本画科の同期4人が、4人展を毎年やってもう11回目。
5月15日に 「ガールズ ギャラリー トーク」 があるということで、いちおう5月11日の火曜昼に絵の下見をし、土曜夕方5時に京橋三丁目の art space kimura ASK? へ行った。
イベント参加は、4人衆に、画廊スタッフに、インド絃楽器サロード奏者の青年に、その他 内輪のお客さまが女性12名ほど、多摩美のお髭の先生が約1名、そして わたしといった具合でした。
5時を過ぎてから、床におもむろに布を敷き車座に坐れるように会場設営が始まったのですが、4人衆リーダーの義村京子さんが話を始めたのは6時近く。
なんともタルいイベントでありますが、おかげで絵をじっくり拝見するうち、義村京子さんの10センチ角の小品の日本画3点を組み合わせて飾るとおもしろいな! という思いに、がしっと捉われたのであります。
義村さんの展示は、眼に大宇宙を宿したETと象の大作2点の周りを数十もの小品が衛星のように取り囲んでいる。
1点1点見ながら選り好みごっこをするうち、
表情さまざまな風船のような白いたましいが浮遊している1点に 「これは見飽きないな」 と思い、
星々とともに2匹の蟻が素描されている1点に 「夢がぷちんとはじけて蟻さんになったよ」 と想い、
パステルで彩られた水生生物の卵の集合体のような1点に 「これを生命のドラマの出発点と見立てて、3つの作品の真ん中にもってくると、いいかも」 と考え、
作家の想像力の産物を、鑑賞者のぼくが再構成して連作に仕上げるという贅沢な楽しみの瞬間を味わううち、
「これは、買わなきゃ! でも、作品群を分売してくれるのかな?」
ふと見ると、宇宙に浮かぶ黒猫の小品の傍に銀色の丸いシールが貼ってあるぞ。
画廊スタッフに声をかけると、小品は1点8千円でした。1点1万円を想定していたので、予算内ということで即決。
額装の手配も画廊にお願いすることにしました。
イベントでインド舞踊を披露する義村京子さんともお会いして3作を組み合わせる発想を披瀝したら、ぼくの鑑賞をよろこんでくれた。
義村さんの作品ファイルを見ると、青を基調にした襖絵をいろんな部屋に嵌めて撮った写真のシリーズが痛快。
川口市で倉庫だったところをアトリエ+ギャラリーにして使っておられる。
トークのなかで
「小学3年生のころ、テスト用紙の裏に天国を描いてみたら、草が3本に花が1輪みたいな絵になってしまって、
『こんなところにホントに行くことになったらイヤだな』
って思ったのを覚えています」
おもしろい人ですね。
からだの線のきれいなひとで、インド舞踊もとりわけ優雅でした。
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ほかのお三方。
井上惠理(えり)さんは、フラダンスの4つの仕草を同じ女性にさせて絵に収めたのですが、「左端の女性ひとりを消したらバランスがよくなる」 と意見を差し上げてしまったのでした。
まぁとにかく、井上さんは群衆のなかにいてもパッと目立つほどの美形でありまして、彼女がいるかぎり 「美人塔」 は面目躍如。
下之園和佐(しものその・かずさ)さんは、美術教師をなさっていて神戸から駆けつけ。
木洩れ日を描いておられるのですが、心の壁面の藻のゆらぎと見ました。
土方朋子(ひじかた・ともこ)さん。
トークのなかで
「3年前から外で制作するようになりました。
風に吹かれると、生まれる前の記憶が戻ってくるような気がして、それを写した取ろうとした絵です」
欲をいえば、土方さんの絵にはアクセントとなる異質のポイントが欲しい。
それが、生命の原点として、あるいは土方さんの視座として、絵を引き締めてくれると思う。
(第11回美人塔は京橋三丁目6-5 木邑ビル2階の art space kimura ASK? で5月22日まで。
ちなみに同じビルの1階、南天子画廊の 「依田洋一朗展」 は、マンハッタンのミュージカルの世界にいざなう闇のファンタジーを感じさせる秀作が見られます。)