カテゴリ:美術館・画廊メモ
6月のブログ冒頭は『石田徹也全作品集』 (求龍堂、平成22年刊) を掲げていた。
カバーに使われた 「燃料補給のような食事」 (平成8年作) は、作者・石田徹也さん23歳のときの作品。 牛丼店をガソリンスタンドに見立てた。 5月にギャラリーQ (銀座一丁目) で、出版記念および五周忌展を見て、一作一作のウルトラQワールドのアンバランスにのめされ、作品集を買った。 8,500円+税 と高価だが、開いただけで特異な世界が広がるこの1冊は、高くない。 石田さんは昭和48年、焼津生まれで、平成17年に31歳で事故死した。 「分解」 (平成11年作) は、変調しつづけるダイニングキッチン。ネジがつぎつぎ男の頭のかたちに増殖し、部屋を支配し解体してゆく。 * 6月25日11:07:41 PM に別項目に書き込まれた読者コメントを、こちらに転載します。 ≪かねてよりのファンですがいただけません! 表紙の絵 じろうさん モダンタイムスのような、何かを感じられていらっしゃいますか? 牛丼って、あてがい扶持の給餌ではなく、牛丼同士の熾烈な味、商品構成、価格の競争によって、少なくとも今そこで食べている消費者に選好された結果なんですよね。 いくら低価格を追求しているとはいっても、そこには分厚い立ち食いそば業界の壁があり、コンビニ、290円弁当の強力なライバルがいるわけです。 昨今の若手会社員男女は、なぜか会議室に集まって弁当喰うランチが多いし…。 画一さを感じさせる表紙の絵が、なぜ尊敬する商社マン兄を引きつけたのか、ご教示いただければ幸いです。 貴兄の対極がこの絵と見えなくもないもので…。場所違い深くお詫びします。 (Jun 25, 2010 11:07:41 PM)≫ 「燃料補給のような食事」 が作品集カバーに使われたのは、その最大公約数的なところ (一見して分かりやすい社会批判性) が理由だったのでしょう。 わたしが編集者なら 「分解」 をカバーに使ったと思います。ほかにもいろいろ、いい作品があります。 ちなみに 牛丼店 は、食事場所が一見してブロイラーのケージに似ていることから、風刺画の格好の題材として選ばれたわけです。 一直線にすきまなく坐る人々が、同じ動作を繰り返す。 ところが、牛丼 そのものが、食べる人それぞれに自分の好みを主張できるファーストフードであることも確か。 最近ぼくは、牛丼店で 「豚丼+生卵+けんちん汁+お新香」 を食べるのが毎週一度の定番になっています。 「豚+七味」 をまず味わい、つぎに 「豚+紅生姜」 を味わい、つぎに 「豚+生卵+七味」 を味わい、つぎに 「豚+生卵+紅生姜」 を味わい、これをご飯とお新香が囃(はや)してくれて、健康的根菜スープのけんちん汁までいただける。 食べながら、味わいに変化をつけていく。 ハンバーガー店の場合、食べはじめると味に変化はつけにくい。タバスコをふりかける程度でしょうか。 その意味ではハンバーガー店のほうが、よほど 「燃料補給のような食事」 です。 ところが店内の風景は、人それぞれが気ままに過ごしていて、画一化を風刺する題材になりにくいわけです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jun 27, 2010 09:00:53 PM
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