テーマ:政治について(20112)
カテゴリ:日本の政治
消費税の議論は、ふたつのレベルに分けられる。
ひとつは、「消費税率引上げ+法人税率引下げ」 が景気を悪化させるのか、という議論。 「悪化させる」 という論者に説明してほしい。「消費税率引下げ+法人税率引上げ」が景気を良くするという理屈が成り立つかを。 もし成り立つのであれば、消費税率が10~25%の諸国は金融危機への対応策として直ちに「消費税率引下げ+法人税率引上げ」に走ったはずである。 実際には、そうではなかった。 法人税率引上げが、確実に企業の投資を冷え込ませるからだ。法人税引上げ前なら成り立った事業が、法人税引上げによって成り立つ見込みがなくなる、というケースが確実に存在するからだ。 議論のもうひとつのレベルは、(消費税率引上げを肯定したとして) 消費税率引上げのタイミングをいつにするか、というもの。 わたしのかねてよりの持論は、 「中国の安価な商品の流入で、生活必需品が100円ショップで買えるようになったタイミングこそ、消費税率引上げのチャンスだった」 というもの。 政治の停滞で、このチャンスを逸した。 では、今後、いつ引き上げるのか。 JPモルガン証券チーフエコノミストの菅野雅明さんが、7月14日の日経夕刊コラム 「十字路」 にいいことを書いている。 ≪消費税率引き上げが中長期的に見て必要ならば、景気の底入れを確認でき次第、むしろ早急に行うべき、というのが歴史の教訓であるように思える≫ という。 どういうことか。 ≪消費税増税時期に関しては 「景気が十分に回復するのを見届けて税率を引き上げるべきだ」 という言い方をよく耳にするが、これは正しい政策なのだろうか。≫ ≪多くの市場参加者が先行きに強気になる時は、相場は転換点に差し掛かっていることが多い。 政策判断も同じだ。 多くの企業、消費者の景気判断が強気になったときが景気のピークになりやすい。 次回の消費税率引き上げも景気回復を待つと結局景気のピーク近辺での増税となり、再び 「消費税率引き上げが景気後退を招く」 結果となりかねない。 そうなると消費税率引き上げに対する拒否反応が一層高まり、それがさらに将来の消費税率引き上げのタイミングを遅らせかねない、という悪循環に入る可能性がある。≫ 卓見というべきだ。 税率を引き上げるコンセンサスを得て法改正するだけで怒濤の1年、それを実施に移すのに半年はかかるだろう。 きょう方針を決めて明日から税率を変えられるわけではないことを考えれば、明らかに景気の底入れが見られるいま、政治は本気で行動を起こすときである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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