テーマ:政治について(20109)
カテゴリ:科学技術に驚く
中国とインドの成長の限界は、水不足によってもたらされる。
水が絶対的に少ない中東で、いくら資本があっても工業が育たないのを見れば分かる。 水不足がもたらす限界点の向こうは、中東の砂漠・土漠をイメージすればよい。 これがぼくの持論で、変えるつもりはないが、すでに膜技術の進歩で淡水を工業的につくるコストがどんどん下がっている。 下に転載した日経産業新聞記事が紹介しているように高度な防水シートで農業用水が節約できるようになれば、問題解決はさらに進む。 当分は高コストだから中国・インドの貧しい農民が使えるものではないだろうけど、では日本で爆発的普及がありうるか。 この技術をつかえば、従来から農業が抱え込んできた日本の水利権(みず・りけん)が放出されるだろうか。 わがふるさと松山市も、水不足に苦しまずに済むようになるだろうか。 日経産業新聞 平成22年8月23日 「水の世紀」 第6部 農の源泉 (上) ≪培地に高分子膜、95%節水 最も水の利用が多い産業は――。 製紙や製鉄など重厚長大の工場ではなく、正解は農業。国内でも世界でみても水使用量の約7割は農業用水だ。 水不足が深刻な地域が増えるなか、少ない水で多くの実りが得られる農法へのニーズは高い。 「水の世紀」 第6部 は 水を有効利用する独自技術やアイデアで 「豊作」 の持続へ挑む企業の姿を追う。 千葉県旭市でトマトを栽培する農事組合法人和郷園のハウス。鈴なりにトマトがなっている苗の根元をめくると、薄いビニール状の膜が出てくる。 その下の土壌とは防水シートで遮られており、栽培に使う土は膜の上にある厚さ1~2センチメートルの培土のみ。 薄い膜がトマトの根に適度な量の水を供給し、成長を支えている。 ■ 1株1日300ミリリットル ■ 根は膜に密着し、その下に適量垂らされた水分と養分を吸い上げる。実を大きくするため、培地に直接水を与えることもあるが、それでも1株が1日に必要な水は200~300ミリリットルで済み、土に直接植えた場合に必要な4~5リットルの5%ほどに過ぎない。 この膜は4年前、農業資材ベンチャーのメビオール (神奈川県平塚市) が開発した。 社長の森有一氏は東レやテルモで人工透析用の医療用膜などを開発した膜のスペシャリストだ。 「水処理や医療に多くの高分子膜が使われているのに、なぜ農業に使われないのか」。 自らその可能性を探りたくて、15年前に53歳で起業した。 良い農作物作りはまず土作りから――。 そう信じてきた農家は 「膜で農家を土作りから解放する」 という森氏に当初、懐疑的だった。 2008年に千葉の和郷園が “膜農法” を初めて導入。高糖度のトマトを安定栽培できると分かると、利用する農園が急増。 この2年で、全国の3ヘクタールを超える広さのハウスに、膜が敷き詰められている。 膜の販売は国内にとどまらない。世界気象機関によると世界の水使用量の約7割は農業用水。水不足が深刻な中東などへ、大企業と組んだ進出にも取り組み始めている。 大阪市内のビルの地下の一室。図書館を思わせる可動式の棚に、培地に植わった野菜の苗が敷き詰められている。大手商社・丸紅の大阪支社内で、植物工場システムの実験場が昨年11月から稼働している。 培土には保水性の高い特殊な土を使う。無駄な水やりが要らないため、1株のレタスができ上がるまでに必要な水は2リットルのみで、土での栽培の1割以下となる。室内で使いやすいように培土は通常より重さが11分の1と軽い。 カブやイチゴなど、栽培実績のある品数は40種にもなる。 「都市部にスペースが多い流通事業者や電鉄会社などに利用を働き掛けたい」 (宮地博明・副支社長) とし、3年後に20億円の売り上げを見込む。 人工の光を使った 「図書館型農業」 には海外からの関心も強い。丸紅の実験場にはシンガポールの政府関係者のほか、オーストラリアやアラブ首長国連邦 (UAE) からも視察団がやってきた。 ■ 水耕にも注目 ■ 水耕栽培も節水面で注目を浴び始めた。大成建設が北海道浦臼町に建設した植物工場では、水槽に発泡スチロールを浮かべ、その上に植物を載せている。 培養液は地中に染み込まないだけでなく、水面からもほとんど蒸発しない。 「水使用量は通常の1割程度」 (新規事業グループの山中宏夫課長)。 南国の果物マンゴーも、水耕用の培養液を供給する配管を敷いた薄い培土を使えば、北の大地でも栽培できる。 水耕栽培の弱点は根が分泌する生育を抑える物質が培養液内に徐々にたまること。フィルターなどで除去できず、一定期間で全量の入れ替えが必要だ。 そこで明治大学の早田保義教授は、培養液を完全に循環利用する農法を研究中。二酸化炭素 (CO2) の微細な気泡と光触媒を併用して養液を浄化する。 今年度中には川崎市内のキャンパスに実証プラントを立ちあげ、4~5年後の実用化を目指す。 産学の技術が日本発の節水農法の可能性を広げそうだ。≫ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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