カテゴリ:美術館・画廊メモ
東京都現代美術館のコレクションによる “常設展” だが、一流の企画展としての気合が入っている。
1階入り口でヤノベケンジさんの「ロッキング・マンモス」が迎えてくれる。自動車などの機械部品を組み合わせた、高さ3.7メートル、全長4.5メートルのスーパーコラージュだ。 1階展示はおもに映像作品。 昭和37年生まれの Pipilotti Rist さんのビデオアートが、色彩ゆたか。 うち1点は、暗い部屋のまんなかに囲炉裏のように鏡面を置き、天井にビデオ作品が上映される。観覧者はふわりとした床に丸い枕に頭をおいて横たわり、なごみながら天井の映像を観る。 もう1点は、手指やペニスの動きを万華鏡ふうに編集して3面の大画面で見せる。いいね。 3階展示はアンデパンダン回顧展。 名前しか知らなかった 「アンデパンダン」 って、こんな熱気だったんだ。 からだじゅうが掌になってくぐもる 鶴岡政男 「重い手」 (昭和24年作品) や 女たちがおもいおもいに燈台にメタモルフォーゼして廃墟に立つ 山下菊二 「オト・オテム (英語名: Totems) 」 (昭和26年作品) など 昭和前期の良質のシュールレアリスム作品として美術史にしっかり書き込みたい作品だ。 岡本太郎の 「足場」 (昭和27年作品) は、おちついた構成美。岡本太郎さんのぎらぎらした赤も健在だけど、構成が沈着だと色まで淡々として見える。 菊畑茂久馬(きくはた・もくま)の 「奴隷系図」 は、陽具を立てた丸太と、黒いほとを窪ませた丸太が龍の鱗のように装飾され御神体としてやや斜めに横たわる。 このインスタレーションは、もと昭和36年に国立近代美術館 「現代美術の実験展」 に出品され、昭和58年に東京都美術館での「1960年代展」に出品するために再制作されたということだが、10万円分の5円玉がばらまかれて完成するこの作品は、まるで伊勢神宮のようにオリジナルが再構成されつづける存在なのだろう。 (この “常設展” は1月30日までが前期、2月26日~5月8日が後期。これは後期も大いに楽しみだ!) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jan 2, 2011 09:25:22 PM
コメント(0) | コメントを書く
[美術館・画廊メモ] カテゴリの最新記事
|
|