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Jan 4, 2011
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カテゴリ:日本の政治
 平成13年以来、毎年1月はじめには元旦社説読み比べを書いてきました。 (参考: 平成13年の元旦社説読み比べ

 10年前の社説がそのまま通用する国ですね、日本は。
 改憲も消費税引上げも政界再編もまったく進まないから、10年前のオピニオン誌を読んでもほとんど古びていない。

■ 老いがひきいる民主党政権 ■

≪民主党が歴史的な政権後退を成し遂げてから、わずか1年4カ月。政治がこんな混迷に陥るとは、いったいだれが想像しただろうか。≫ (朝日新聞、元旦社説)

 「政権交代」 と打とうとしたら 「政権後退」 と変換された。ワープロソフトは正直だ。

 わたしは民主党政権成立で、もっとメチャクチャなことになると想像してました。過去の配信コラムにしっかり書いてあります。
 「誰が想像しただろうか」
と言われたからには、朝日新聞社に行って
「俺だよ!」
と名乗ってやりたいが。

 幸いなことに、民主党政権にはメチャクチャを貫く実行力もなかったよ。
 民主党政権は、鳩山ピエロから菅カカシに代わってまだ、ましになった。 (そこで花のピエロ役を引き受けたのが仙谷由人氏だったな。)
 「ましになった」という意味は、
菅政権になって、官僚組織が提示する最低線にだけは素直に従うようになったから。
 なにかと ひとくせあった鳩山政権より、まだ、まし。

 菅直人首相は、要すれば老いているのよね。世の中の動きに反応できないあの鈍(にぶ)さは、老いの典型。
 老いには個人差があって、高齢の 「残念」 がくっきり見える政治家に、宮澤喜一氏や村山富一氏がいた。 菅直人氏もその仲間だ。

 もっとも、菅首相がもし若々しかったら、外国人参政権実現とかアジア謝罪旅行とか、とんでもないことで頑張っただろうね。
 ……鈍な首相で救われる、悲しさよ。

■ バカのひとつ覚えの大連立 ■

 元旦社説でいわゆる大連立の勧めを説いたのが、読売と朝日。

≪次善の策として、懸案処理のための政治休戦と、暫定的な連立政権の構築を模索すべきではないか。
1年ないしは2年の期限を切った、非常時の 「救国連立政権」 とし、懸案処理後に衆院解散・総選挙で国民の審判を問えばいいのだ。≫ 
(読売)

≪自民党は早期解散へ追い込むという。だが、自民党への支持はさっぱり戻っていない。このまま総選挙になれば、投票先を失った選挙難民が路頭に迷うであろう。

菅首相が野党との協議を求めるならば、たとえば公約を白紙に戻し、予算案も大幅に組み替えるといった大胆な妥協へ踏み出すことが必要だ。≫
 (朝日)

 “選挙難民”とは恐れ入る新語だが、グーグル検索したら 1,420件がヒットした。

 大連立の内容が 「ポピュリズムなき自民党政治」 なら賛成だが、そういうまともな大連立など朝日は全く想定していないだろう。

 読売と朝日がそろって大連立のススメを書くのなら、ためしに両社の論説委員らが合宿をして可能なかぎり具体的な連立マニフェスト案をつくってみるがいい。

■ 党議拘束こそ日本政治の癌 ■

 わたしの意見は、前から書いているが 「党議拘束はずし」 である。

 米国の議会では、日本のように厳しい党議拘束がないから、野党議員が自分の脳で考えて与党案に賛成することも多いし、その逆もある。

 日本でなぜそうなっていないかというと、理由はふたつあって、
(1) 国会議員が能力不足で、自分の脳で考えられない。
(2) 党議拘束に従わせることが、党執行部の権力の証し。

 党議拘束が外されても、今度は派閥や党内グループごとに投票の拘束が起きるだろう。 党の執行部の威光はなくなり、派閥の領袖や党内グループリーダーの割拠が鮮明になる。

 だから与党も野党も党議拘束をする。
 だから政界再編がいつまで経っても起きない。
 日本の政治の癌は、党議拘束だ。

 究極の密室政治を生むだけの大連立には反対である。むしろ、個々の議員の能力と見解をさらしものにする究極の公開政治である 「党議拘束はずし」 をして国の仕組みを変える懸案に挑むべきだ。

 新聞は、個々の議員が何に賛成し、何に反対したかを逐一報じて、次の選挙での判断材料を提供すればいい。それこそが、“選挙難民” (?) を無くす道であろう。

■ 「元気と底力を引き出す仕掛け人」 ■

 毎日と産経の元旦社説のキーワードは 「底力」。 『日本の本領(そこぢから)』 を書いたわたしとしては、まんざらでもありません。

 毎日は社説の前半、18世紀後半の出版起業家・蔦屋重三郎(つたや・じゅうざぶろう)のことを書き綴る。
 蔦屋重三郎が賭けた写楽・歌麿をはじめとする美術出版。昨年サントリー美術館の展覧会は、わたしも行って感動しました。
 こういう切り口が、元旦社説にはぴったり。社説タイトルは「日本の底力示す挑戦を」。

≪斎藤佑樹投手の言にならえば、私たちは何かを持っている。それは長い時間をかけて蓄積された潜在的な力といっていい。

明治の急速な近代化も、戦後の奇跡的な復興も、広く世界に目を向けて底力を発揮したことによる。私たちはもっと自信を持っていい。

蔦重(つた・じゅう)の挑戦も江戸の人々の教養の高さや社会の成熟があってこそできたものだ。≫

≪重要なのは蔦重のように人々の元気と底力を引き出す仕掛け人を生み育てていくことだ。≫

 ……と、ここまではとてもいいのだが、ここで息切れ。「ミニ朝日」の悲しさ。

■ 中だるみが残念な産経 ■

≪日本の芯は、皇室に代表される伝統や、勤勉・礼節といった国民精神などに形容される。
変化に対応して、芯といえる底力を作ってきたのは全国で2万を超える創業100年以上の企業だ。≫

 毎日が書けるわけありませんね、こういう文章を。はい、こちらは産経の社説です。

 鎌倉・鶴岡八幡宮の大銀杏(おおいちょう)の根元からの新芽 (=ひこばえ) から説き起こしたのも元旦社説にふさわしいし、創業1907年の日本製鋼所が受け継ぐ日本刀づくりの伝統で締めたのもよかったが、

 産経社説は、中だるみが残念。
 1911年、1931年、1941年、1991年、2001年にそれぞれ、辛亥革命や満洲事変などが起きたことを書き連ねて、 ≪歴史を振り返ると、今年は大激変が起きた節目の年にあたる≫ と述べたのは、安易なこじつけと言わざるをえない。

■ 今を切る冴えのある日経社説 ■

 日経社説が唯一、今ならではの切り口の冴えを見せた。無用な楽観に走らず、危機を説いてシニカルにならず。

≪来年は 「団塊の世代」 の一番上が65歳を迎え、社会保障支出が急増し始める。働く人が年に0.7%程度減り、経済成長を抑える。
本格的な高齢化を2~3年後に控えて、これから1~2年は日本再生への最後の機会となるだろう。≫

≪ところが政治家や経営者の間では
「日本は大国で、簡単には負けない。改革、改革と叫ぶのは大げさ」
という向きが多い。時代錯誤である。≫

≪貿易自由化で外の成長力を取り込む。伸びない産業よりも成長産業を後押しする。世界で通用する人材をはぐくむ。
それはまさに明治期の人が挑み、なし遂げたものだ。≫

≪外科手術が必要なのに、痛み止めを与える。そんな政策を民主党政権は自民党政権と同様、続けている。八方美人の政策は有害でしかない。
嫌われても嫌われても、必要な政策を断行するキャメロン英首相 (44) の勇気に倣うべきだ。≫

■ 英国政権の政策を勉強してみます ■

 恥ずかしながら、わたしは英国キャメロン政権の政策のことを全く知らない。これは勉強しなければならない。1月の課題を元旦早々にいただいた。

 今年の元旦社説読み比べは、日経に軍配を上げる。

 なお、東京新聞 (中日新聞東京版) の社説は、今年も読むに堪えないものだった。





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最終更新日  Jan 4, 2011 11:26:20 PM
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