毎年恒例の祭行列を、地元の伝統工藝の野外ショーにする。
そういう主張を社説に書ける地方新聞は、京都新聞と金沢の北國新聞くらいだろうか。 加賀友禅、加賀繍(かがぬい)、加賀蒔絵、加賀象嵌と、工藝のジャンルを一藩で横断的にカバーしているところが、またすごい。 「せっかく地元に着物ブランドがありながら、京都の貸し衣装店に頼るだけではやはり物足りない」 と言い切れる土地の実力がうらやましい。 北國新聞 平成23年2月20日 社説 ≪百万石行列に友禅 「工藝王国」を発信したい 60回の節目を迎える今年の金沢百万石まつりで、加賀友禅を時代行列の衣装に採用するのは、行列を魅力的な中身に変えていく新たな一歩といえる。 年に1度のイベントで、どこまで衣装にこだわるかは議論のあるところだが、せっかく地元に着物ブランドがありながら、京都の貸し衣装店に頼るだけではやはり物足りない。 まつりの在り方を見直す改革案では、行列の衣装として、加賀友禅だけでなく、加賀繍(かがぬい)、加賀蒔絵、加賀象嵌など地元工藝品の活用を探る方向性が示されている。 ぜいたくを言えばきりがないが、たとえば主役級の衣装にこだわるなど知恵を絞れば工芸を取り入れる余地はまだあるはずである。 全国に名だたる石川の伝統工藝も加賀藩の文化政策で育まれたものであり、前田家を抜きにして語ることはできない。 加賀象嵌にしても、武具を彩る技法から発展した工藝である。前田家を顕彰するまつりの性格を考えても、工藝はもっと前面に出していい。 加賀友禅は、珠姫(たまひめ)のお輿入れ行列に加わる御殿女中役 (あやめ隊) の女児60人分の着物として使われる。 加賀染振興協会が制作し、児童を対象にした着物体験などでも活用する。 百万石行列は、金沢の歴史や文化を内外に発信する一年のメーンイベントである。 近年は加賀友禅のファッションショーなども増えてきたが、沿道が人で埋め尽くされる百万石行列はスケールの大きな野外ショーの舞台でもある。 加賀友禅以外の伝統工藝も取り入れていけば 「工藝王国」 「工藝都市」 を効果的に発信できる。 全国の他の武者行列との違いを際立たせることにもなろう。 今年の百万石行列は歴代藩主全員が登場する 「時代絵巻行列」 が編成されるなど節目の年を意識した中身となる。 北陸新幹線開業を見据え、新しい時代にふさわしいまつりの姿を探っていきたい。 外国人観光客には日本のイメージとして 「サムライ」 が浸透し、世界共通語にもなっているが、百万石行列は 「サムライ」 の街、金沢を分かりやすく発信できる場でもある。 そうした視点からも行列のもつ可能性を考えていきたい。≫ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Feb 20, 2011 09:26:26 PM
コメント(0) | コメントを書く |
|