テーマ:政治について(20219)
カテゴリ:日本の政治
きのう夕方5時に丸の内から歩き出し、ほとんど車が動かない昭和通りを北上した。
上野でラーメンを食い、7時半に千住大橋を渡り終えかけたところで、信じられないことに隅田川から高いしぶきが上がった。 歩道のわたしの目から見ても高さ3メートル近くあるしぶきで、頭から水を浴びて全身がずぶ濡れになった。水面から計れば、とんでもない高さのしぶきだ。 あれは、何だったのだろう。ひょっとして津波が隅田川を遡上して、ちょうど千住大橋の橋脚に当たってしぶきとなったのだろうか。 橋の下を見る勇気はなかった。 髪をハンカチで拭いたら、ドブの臭いがした。皮鞄の水滴が乾くと、点々と泥跡になった。 ■ 「この辺りも水びたしになるのだな」 ■ たかが一度のしぶきで足がすくみ、たかが隅田川の水も臭う。津波に襲われた地域の人々の苦しみはいかばかりか。 北千住駅に行けばバスが出ているだろうと想像したのが甘かった。バス停は絶望的な長蛇の列で、駅ビルはシャッターが下ろされていた。 気を取り直して引き返し、こんどは日光街道を北上して千住新橋を渡る。 隣を歩く初老の夫婦が話している。 「宮城県のような具合に東京湾に津波が来たら、荒川をさかのぼる水でこの辺も水浸しだよ」 「そうなれば、こんなところ歩いていられないわ。帰りようがないのね」 途中、道を間違えて行き戻りして、自宅に着いたら10時になっていた。 「遅かったわね」 と冷たくあしらわれるかと思ったら、拍手で迎えられた。 ■ 財政負担は 「現在」 で完結させよ ■ 3・11大震災は、全面的に壊滅した都市や集落の数と規模が、過去の災害のレベルを大きく超えている。 災害後の社会基盤の整備のために、政府の予算はもちろん、税制の一時的な変更にまで踏み込んで対処する必要があると思う。 「インフラ整備は未来の世代に残すものなのだから、費用負担も未来の世代に残せばよい」とばかりに赤字国債で費用をまかなってはいけない。 将来世代に新たな果実を生む投資は、国債でまかなって費用負担も将来世代に託してよい。 しかし、大きなマイナスを 「単にもとに戻す」 作業、「単にもとに戻す」 ための財源は、現在の世代による負担で完結させるべきだ。 電力不足。それを乗り切るための節電が 「現在」 のなかで完結するごとく。 未来から電力を借りられぬごとく。 ■ 阪神・淡路大震災の復興資金は16兆3千億円 ■ 災害復興のための目的税としての消費税率引上げを3年間の時限立法で実施してはどうか。 たとえば3%引き上げて、消費税率を8%とする。 あるいは自助の精神で、東北地方と関東地方だけ消費税率を10%とする。復興土建工事の発注が、東北・関東地方の業者へ集中して、資金還流してゆくのは確実だから。 平成20年度の消費税は、国税分・地方税分を合わせて約12兆5千億円だった。 税率1%が2兆5千億円に相当する。 「国税・地方税の税収内訳(平成20年度決算額)」 阪神・淡路大震災の復興事業費の総額は16兆3千億円だった。うち9割が公的負担で、1割が民間資金だった。 「阪神・淡路大震災復興資金」 3・11大震災の復興のためにどれだけの資金が必要か。 阪神・淡路大震災を大きく上回ることは確実だろう。 仮に総額を30兆円とし3年間で支出するなら、1年あたり10兆円。 消費税率にして4%である。 ■ 時限立法であることを政・官が徹底合意すれば ■ 災害を口実に消費税を恒久的に引き上げるのではないか、という議論は当然行われるだろう。ここは与野党・財務省も一致して時限立法であることを確認して乗り切ろう。 あるいは、日銀券とは別の政府紙幣を発行することで乗り切るのも1つの考え方だ。 総額・使用目的をはっきりさせれば、納得性はあるはずだ。 政府紙幣発行によって通貨量が増えて、最終的には若干のインフレによって吸収される、はずである。 とにかく、国債の増発には反対だ。 未来がうるおう投資なら、国債で資金をまかなって将来世代に負担ねがうのが正解だ。 しかし、きょうの傷を治す作業と資金は、きょうの人々が負担しなければならない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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