カテゴリ:美術館・画廊メモ
芝居好きが、舞台裏や楽屋のようすを書いたものを読む感覚。
ぼくの心を奪う現代アート展の数々が、こういう営みによって支えられていたのかと。 難波祐子(さちこ) 『現代美術キュレーターという仕事』 (青弓社、平成24年刊) ぼくも現代アートはもともと好きだったのだけど、意識的に美術館や画廊をがんがん回りだしたのは3年ほど前からだ。 この本を読むと、昭和60年代から (=つまりぼくが会社勤務をはじめた頃から) 美術界が大きく変わりはじめたこと、そしてもちろんその萌芽は昭和20年代からあったことなど、興味深い。 ぼくが参加しそこねた同時代史のよう。でも最後のほうは、ぼくに近しい同時代史だ。 本の最後に収められた、著者・難波祐子さんと中原祐介さんの洒脱な対談を読むと、中原さんがこんなことを言っている。 ≪学藝員があまり展覧会を見ないんだよ。 だから企画展をやるにしてもね、そう簡単にできない。 例えば、ときどき東京の展覧会を見にきたりしているのはいるけれど、全国の公立美術館の学藝員がちょっと遠いところでやっている展覧会まで頻繁に見ていない。 そうすると、自分のなかにある美術館の仕事の知識が広がらない。 企画展のときはちょっと貧しくなるんだよね。 だからもし学藝員に企画展をやらせろ、となると、美術館の仕事をすっぽかして、どんどん展覧会を見にいくことを僕は勧めたい。≫ なんでこのくだりに反応してしまったかというと、ぼくが画廊めぐりをしていても、画廊オーナーないしギャラリストに対して同じことを感じることがあるからだ。 画廊の仕事をしているのに、すぐ近くでやっている個展のことすら知らないことがざらにあるわけです。 本業を別にもって昼休みや退勤後にあちこち回っているぼくからすると、 「本業で画廊やってるひとが、画廊めぐりを楽しめなくてどうするの?」 みたいなことを考えてしまうわけですね。 その例外ということですぐ思い浮かぶのが、Oギャラリーの大野博子さんで、昼休みに銀座界隈の画廊を自転車で巡っておられるのにすれ違ったことも何度か。 あと、銀座 Gallery フォレストの森 弘彦さん。このかたは、若い才能の発掘のために卒展・修了展なども丹念に見てまわっておられて、それがあの、週替わりで2人の若手作家に個展を開かせるエネルギーになっているわけですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Apr 14, 2012 10:00:54 AM
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