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Aug 31, 2012
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カテゴリ:美術館・画廊メモ
 東京・上野にフェルメールの絵が3点来ている。すさまじい集客力で展覧会は大混雑らしい。ぞっ…。

 2つの展覧会、わたしは7月の金曜日の夜に至福のときを楽しんできた。
 大人気の展覧会を見るには、コツがある。そっとお教えします。

■ 泉幸男がすすめる、プロの鑑賞法 ■

 展覧会を見つづけて、わたしなりにたどり着いた結論。

(1) 午前中がいいわけではない。
   おすすめは、開館時間が延長される金曜夜の6時半から8時あたり。

(2) 至福のときを楽しみたければ、閉館前の30分間に人がまばらな展示前半を見ること。

(3) ぎゃくに、朝、開館前に列に並んで入ったなら、展覧会の前半はすっ飛ばして、人がまばらな展示後半を見るとよい。



 2つの展覧会は9月17日まで。
 金曜夜が穴場。残るは、9月7日、9月14日の夜ですね。

 午後6時半までに入場し、心を鬼にして前半をすっ飛ばし、まず後半から見る。
 午後7時15分あたりから会場内を逆走して前半を見るのが、ベストです。

 「真珠の耳飾りの少女」 を展示する東京都美術館のマウリッツハイス美術館展は、9月11~17日には連日、夜8時まで開館することを英断してくれました。
 夜の開館は、知らないひとが多いので、穴場であります。

■ おおかたの想像に反して ■

 素人さんは、こう考える。

(イ) みんなが来てない朝のうちに入ってゆっくり見よう。
   だって、たくさんお客さんが来るのは、午後でしょ。

(ロ) 展覧会の会期の後半は比較的空いているはず。
   だって、ファンなら会期前半にワッと行くはずでしょ。

 はずれです。正解は、こうです。

(い) 朝のうちは、混んでいる。

 えっ!? と思われたかたは、ある美術愛好家が書かれた記録をお読みください:

マウリッツハイス美術館展 混雑状況
(これは7月15日の時点の記述。いまはこんな甘っちょろい状態ではないです。)

 大人気の展覧会では朝早くから長蛇の列。開館と同時に会場係がかなり早いペースで入場させるので、意外にも朝一番から会場は混雑。

 しかも入場後の30分はみんな元気なものだから、どーでもいい作品でも熱心に見ちゃうんですね。団子状態の群衆にくっついていると、朝早く来た意味がまったくありません。
 朝早く展覧会場に入れたなら、その特権を生かして、まずは人のまばらな展示後半を見ましょうよ。
 だって、展示前半はのっけから、普通なみに混雑してるんだから。


(ろ) 会期最後の数週間は、混む。

 大人気の展覧会の最後の数週間は、「あ、忘れてた! 見なきゃ!」 という人が押し寄せて、どんどん混雑度を増します。 
 会場係さん、おつかれさまです!

■ オランダの繁栄を反映する作品群 ■

 各展覧会の見どころやコツを簡単にご紹介します。

「マウリッツハイス美術館展」
http://www.asahi.com/mauritshuis2012/
@東京都美術館


 3フロアで展示。地下1階から入り、1階、2階へとエスカレーターで上がります。
 会場内にエレベーターがあり、2階から1階や地下1階へ簡単に戻れます。

 フェルメールはさておき、レンブラントのいい作品が来ています。
 地下1階にはレンブラントの 「スザンナ」、「シメオンの賛歌」、そして1階にはレンブラント晩年の自画像。

 風景画、歴史画、肖像画、静物画、風俗画と、ジャンルをわけて展示してあるのも好感。
 たとえば風景画を見るときと肖像画を見るときは、脳内の違う場所が反応している。こういう具合にジャンルを分けて展示してくれると、脳のスイッチを切り替えながらこころよく鑑賞できます。(あぁ、混雑してなきゃね!)

 フェルメールの 「真珠の耳飾りの少女」 は、展示会場の中間地点である1階に、特別スペースが設けられています。

・ 2メートルほど離れたところから、ひとり5秒間ほどご尊顔を拝する長蛇の列のコース。
・ やや離れた高みから眺める人垣コース。

 ここでゆっくり見たければ、朝早く入場口に並び、地下1階から入場するや1階まで駆け上がるしかないでしょうなぁ。

 サイズの小さな絵でして、人ごみのなかでこの絵からオーラを感じ取るのは、至難の業と申せましょう。

 フェルメール作品が、じつはもうひとつ、地下1階に展示してあります。
「ディアナとニンフたち」。
 通りいっぺんの歴史画のように見えますが、色彩感覚にセザンヌを感じましたな、わたしは。

■ ヨーロッパ美術の400年 ■

「ベルリン国立美術館展」
http://www.berlin2012.jp/
@国立西洋美術館


 2フロアで展示。地下1階から入り、15~17世紀の名品の数々を見ます。
 後半のイタリア・ルネサンスの素描展が地下2階。
 そこからまた地下1階に上がって、18世紀の作品をさらりと。

 18世紀作品のコーナーに白いカーテンがあり、そこを遠慮がちにさっとくぐると、15~17世紀の世界に簡単にワープできます。
 つまり、地下2階を経由しなくても、展示前半に戻れちゃうというわけです。(あまり多用しないでください。会場係のひとがキレちゃうかも。)

 この展覧会のレベルの高さには圧倒されました。
 とくに、前半の15~16世紀の作品が新鮮でした。この時代の作品は、価値が高くても集客力が弱くて、なかなか日本に来ないのです。必見!

 ぼくの一押しは、フェルメールよりも、ルーカス・クラーナハ (父) の 「ルクレティア」 です。
 1533年作品。聖女の裸身をいきいきと、神々しく描いた、たましいを奪う名品です。

 フェルメールの 「真珠の首飾りの少女」 は、地下1階展示のあとのほうに、レンブラント作品などと同じ扱いで掛けてあり、終始殺伐とした人だかりがしていて、落ち着いて鑑賞することはほぼ不可能と申せましょう。

■ ひとりひとりに出会いがあれば ■

 フェルメールにこだわらず、ご自分のお気に入りの作品を見つけていただけることを、祈っております。

 会場では、500円で音声ガイドを利用なさることをお勧めします。

 東京都美術館の音声ガイドは武井 笑さんが声を担当していて、彼女の声を聴いているだけで、心がなごみます。
 国立西洋美術館の音声ガイドは、小雪さん。名女優とのひとときも、いいものです。





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最終更新日  Aug 31, 2012 11:10:41 PM
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