カテゴリ:美術館・画廊メモ
「東の大観、西の栖鳳」 と竹内栖鳳(せいほう)が称されたのは、絵の実力 (ひとびとを納得させる描写力と多様性) に加えて、後進をよく育てたことによるのだろう。
あちらこちらで、1点2点と拝見してきたが、まとまった形で栖鳳の画界にひたったのは初めてで、深い感動に包まれた。 明治34年の六曲一双 「虎・獅子図」。 左隻の獅子図を、平成23年6月17日にサントリー美術館 「不滅のシンボル 鳳凰と獅子」 展で見ていたが、今回再会してあらためてこの110年前の作品の滴りおちるような新しさに打たれた。 栖鳳の制作の文脈のなかで見ることで、獅子を活写した筆致の際立ちが感得できた。 淡彩画というジャンルもある。 単色ならば薄墨であろうが、それを彩色画で表現する。 「緑池」 は、肩から上だけ水面にのぞかせて浮く蛙の、水面下のからだの描きが絶品だ。 中国江南風景は描きつくされているが、それでもなお 「城外風薫」 は、さまざまなモチーフを散在させる巧みなセンスが光って、飽きない。 2羽の濡れ烏と楊柳を迫力ある筆致で描いた 「驟雨一過」。 解説を聞くと、栖鳳の “省筆(しょうひつ)” の真骨頂があるという。 ≪日本画は省筆を尚(たうと)ぶが、充分に写生をして置かずに描くと、どうしても筆数が多くなる。 写生さへ十分にしてあれば、いるものといらぬものとの見分けがつくので、安心して不要な無駄を棄てることができる。≫ 「栖鳳語録」 『国画』 2巻9号 (昭和17年) 作品紹介の録音は、栖鳳のことばを京のアクセントで読んでいた。正しい京都ことばで読まれていたのか、よくわからない。 (山種美術館で、きょう11月25日まで) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 25, 2012 12:16:11 PM
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