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Jan 2, 2013
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カテゴリ:ぼくの疑問符
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 勤務先の商社の職場でよく使う表現に 「椅子から転げ落ちそうになる」 というのがある。

【用例】
「おまえのメール読んだら、税制が変わって来年は4割減収だって? 椅子から転げ落ちそうになったよ」

【意味】
ひどく驚くさま。

 東京新聞 (=中日新聞の首都圏版) の元旦社説を読んで、椅子から転げ落ちそうになった。

■ 無欲でなく大欲を説いた石橋湛山だが ■

≪満州事変から熱狂の十五年戦争をへて日本は破局に至りました。三百万の多すぎる犠牲者を伴ってでした。湛山の非武装、非侵略の精神は日本国憲法の九条の戦争放棄に引き継がれたといえます。≫
と、東京新聞は書く。

 「日本国憲法制定以前に非武装を唱えていた論者」 という汚名を着せられ、あの世の石橋湛山(たんざん)(おう)もさぞやお怒りだろう。

 36歳の石橋湛山は、大正10年7月の 『東洋経済新報』 社説にこう書いている。湛山の真骨頂。少し長いが引用する。

≪吾輩は今の世界において独り日本に、欲なかれとは註文せぬ。人汝の右の頬打たば、また他の頬をも廻して、これに向けよとはいわぬ

(いな)、古来の皮相なる観察者によって無欲を説けりと誤解せられた幾多の大思想家も実は決して無欲を説いたのではない。
彼らはただ大欲を説いたのだ、大欲を満たすがために、小欲を棄てよと教えたのだ。

さればこそ仏者の 「空」 は 「無」 にあらず、無量の性功徳を円満具足するの相を指すなりと言わるるのだ。

しかるに我が国民には、その大欲がない。

朝鮮や、台湾、支那、満州、またはシベリヤ、樺太等の少しばかりの土地や、財産に目をくれて、その保護やら取り込みに汲々としておる。従って積極的に世界大に、策動するの余裕がない。≫


 バランスのとれた正論である。とても 「非武装」 論者の説とは読めない。

 わたしなど
「中国への長期投資は控えて、基幹部品・素材の輸出に特化せよ。投資したければ、中国にこだわらず広く世界に目を向けよ」
と言い続けているのですがね、まさしく湛山流の大欲を説き続けていたわけですね。

■ 「無軍備を誇るのは迷信」 ■

 日本国憲法制定後も、石橋湛山は健全な批判精神を保ち続けた。ウィキペディアからの引用になるが、

≪(湛山は)私的に記した日記の中でも、1950年の記述で、「今日の世界において無軍備を誇るのは、病気に満ちた社会において医薬を排斥する或種の迷信」 と非武装中立の主張を公的な発言以上に辛辣に評してもいる。

1953年の総選挙では、鳩山自由党の政策委員長として政策をまとめて
「憲法を国情に適するように改正」
「戦争否定の精神は国策として存置するが、戦争発生防止のため自衛軍を組織する」
などを明記した。≫


 この湛山のどこが 「非武装」 論者であろうか。

 東京新聞・中日新聞の勉強不足は 「熱狂の十五年戦争」 という形容にも明らかだ。日本史をまともに勉強したなら、満州事変から敗戦に至る時代を 「熱狂の」 とは形容できまい。
 それはむしろ、指針のない、苦渋と混迷の15年だった。

■ 混迷なき時代が求める長期安定政権 ■

 それに比べて平成25年は、国の課題と向かうべき方向が極めて明確な、混迷なき時代と言える。わたし流にいえば、「GHQなき昭和21年」 と形容したいくらいだ。

 国民のいのちと暮らしを守るために、国力を高める。
 経済停滞を招いた日銀主導のインフレゼロ路線を捨てる。
 ボロが出始めた老朽インフラの更新を、ムダを抑えつつ実現する。

 「原発が止まるとホントに電気代って上がっちゃうのね」
 「大規模な太陽光発電所を作っても、けっきょく電気代が上がるだけだな」
 そういう当たり前のことに、ようやく過半数の国民が気づきだした。

 「尖閣諸島を中国へ明け渡せば万事解決するなんてレベルの問題ではないらしい」
という、当たり前のことに気づく国民も増えてきた。

 とどまることを知らない軍国主義中国を抑え込むには、米国・豪州・東南アジア・インドと連携した 「自由と繁栄の弧」 (麻生太郎外相の提唱) が欠かせないことも実感される時代になった。

 こういう基本的認識で一致しているのが、日経・読売・産経の社説である。そのうえで読売・産経は、安倍政権が参院でも過半数を確保して長期安定政権を実現することに期待している。

■ 自社の混迷をさしおいて ■

 朝日新聞の主張に沿いつつ政治を行った民主党政権の失態。

 とりわけ鳩山由紀夫首相は、朝日新聞の臭いがぷんぷんするひとだった。現実無視がその場かぎりの言動につながり、普通人には 「嘘つき」 に見えた。
 それでも鳩山首相を liar と呼んでは国際問題になるから、米国人も loopy (うすらバカ) と呼んで武士の情けを示した。

 総選挙の大敗を受けて、さぞや社内も混迷していることであろうと思ったら、さすが朝日である。混迷しているのは社内ではなく、「時代」 なのだそうだ。

≪混迷の時代の年頭に
「日本を考える」を考える≫


と来た。
 課題も打開策もクリアなこの時代を、かってに 「混迷」 呼ばわりしないでほしいものだが、朝日は言う。

≪こう問うてみたい。
私たちが抱える、うんざりするような問題の数々は、「日本は」 と国を主語にして考えて、答えが見つかるようなものなのか、と。≫

■ 「国」という枠組みを利用する ■

 世の中の成果も問題も、日本国の中央政府が主語であることは確かにそれほど多くない。
 経済の活性化は、数多くの私企業の決断と頑張りにかかっている。文化の振興は、こころざし高い藝術家やプロデューサーの意気に負う。

 では、私企業や藝術家の頑張りに、ふつうの国民がどうすれば関わっていけるだろうか。
 国民が声をあげ手をさしのべるには、やはり 「国」 という枠組みを利用するのである。そのために国家は存在する。
 国民の意思を代表する 「国家」 という広場を通じて、私企業や藝術家が力を存分に発揮できる世の中にしたいと、そう願う。

 だから我々普通人は、「日本は」 と国を主語にして答えを見つけようとするのである。

■ 「公船の派遣」? ■

 小朝日と定評のある毎日新聞。

≪力による現状変更を仕掛けてきているのは明らかに中国側であり、日本はあくまで対話と法理で問題解決を図ろうとしている。

こういった日本の立場と主張を、アジア諸国を中心に世界に対し粘り強く丁寧に説明し、理解を得て仲間を作る。決して孤立化しないことだ。≫


 小朝日にしては、まともな主張である。しかし次の一節は、たちまち甘ちゃんだ。

≪まずは、強硬路線の悪循環を排し現状維持の緊張に耐え抜くことだ。そして、対話と妥協の機をうかがう。
例えば、中国は公船の派遣をやめる。
日本も外交問題はあることまでは認め、話し合いのテーブルにつく。≫


 「公船の派遣」 という一節を読んで、何を言っているのかしばらく分からなかった。
 あぁ、「海洋監視船による領海侵犯」 のことか。

 領海侵犯を称して 「公船の派遣」 ですか。やはり毎日新聞は中華共和国の新聞か。
 領空侵犯も、「政府航空機の派遣」 と呼ぶのだろうね。

 領土問題があるとまでは認めず、しかし 「外交問題」 はあると認めれば話し合いは始められる、というのが毎日新聞の主張だ。
 たしかに中国共産党はそれを望んでいる。
 しかし日本は諸外国を味方につけながら、中国に対して門前払いを貫くしかないのである。

 ん? いつまでも門前払いしている場合かというあなた!

 待ってました。いますぐ百万円、わたしにください。
 少なくとも、わたしと話し合いの席についてください!
 門前払いはなし、でしたよね。授業料、いただきます!





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最終更新日  Jan 2, 2013 10:04:33 PM
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