テーマ:政治について(19982)
カテゴリ:ぼくの疑問符
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わたしの勤務先の職場でも、十数メートル離れたところにいる同僚らが、国内の太陽光発電事業を担当していて、あちこち出張で飛び回っている。 太陽光発電の電力は、1キロワット時あたり 「40円+消費税」 で20年にわたり電力会社が買い取ってくれる。だからビジネスになる。 一般家庭の電気代は1キロワット時が20円台の前半だから、電力会社にとっては完全な逆ザヤだ。もちろん、電力会社が黙って損をかぶるわけはなく、ツケはやがて消費者へ回される。 高コストの電力は、景気にはマイナス要因だ。商社として太陽光発電でショボショボ儲けたとしても、景気を悪くしては元も子もない。 ■ 開発途上の技術 ■ 1キロワット時あたり 「40円+消費税」 という買取価格が去年発表されたときにはビックリした。 あまりに高い。事業者にここまで儲けさせてよいのかと。 世界的な相場は、1キロワット時あたり30円そこそこだ。だから、政府が決める固定価格も30円台の前半だろうというのが大方の予想だったのだが。 わたしの勤務先がやるかどうかは別として、中国製の安い太陽光パネルを使えば30円台の前半でもビジネスとして成り立つはずだった。 太陽光発電は、まだまだ開発途上の技術である。 昨年12月に 「次世代太陽光発電」 のシンポジウムが横浜で行われ、わたしも傍聴したのだが、その副題にいわく ≪発電コスト14円/kWh の太陽光発電技術の普及に向けて≫ 7年後の2020年に、1キロワット時あたり14円の発電コストを実現しようというわけだ。業界としては、2030年に1キロワット時あたり7円を目指している。 原料となるシリコン。いまは 100%輸入品であり、うち80%は中国からの輸入だ。 国産のシリカ(二酸化珪素)が使えれば原料輸入に頼らなくて済む。国富の流出が防げる。そういう技術も懸命に開発中という。 ■ 未来にツケと悔いを残すな ■ 太陽光パネルは20~30年にわたって使われる。現在の遅れた技術に基づく高価格のパネルを、今日ただ今 何を焦って国じゅうに敷こうとするのか。 7年待って2020年あたりから、国産シリカを原料にした低価格のパネルを一気に普及させるほうが、国民経済にとってプラスではないか。 2020年になって、後悔したくない。そのときになって、7年前の2013年に敷きつめた高コストの太陽光パネルをにらみつけ、2013年に結んだ理不尽な電力買取契約を恨みに思っても、詮ない話だ。 未来に悔いを残さぬよう、いますぐ軌道修正すべきである。国民経済の限りある資金を投じる先は当分のあいだ、技術開発に絞るべきだ。 ■ 太陽光発電事業はローテク ■ いまの技術による太陽光発電は、もはやハイテクではない。ローテクだ。 太陽光発電の電力を高く買い取らせますと政府が音頭取りをしても、国産のパネルは中国製に価格で太刀打ちできない。週刊誌に叩かれてもヘッチャラの事業者は、中国製パネルを使う。 土建・据付け。まちの工務店でやれるローテクの土建である。 太陽光発電には広大な土地が必要だ。借地料もコストを左右する。 再生可能エネルギーといったところで、ハイテクの要素は少ない。潤うのは、工務店と地主と素人事業者ではないか。いまの太陽光発電事業をあり姿のままに支援しても、ハイテク支援の要素はとぼしい。 1キロワット時あたり40円+消費税の20年間据置き価格は、未来の世代にツケだけ回す捨てガネだと思う。 ■ 社会が納得する 「35円+消費税」 ■ 日本経済新聞の1月19日の1面報道記事を読んで、暗い気持ちになった。 経済産業省は、いまの割高な長期買取価格を平成25年度の契約分についても引き続き適用する方針でいるらしい。2月中に本決まりとなる。 (ここで解説をしておこう。 平成24年7月に始まった制度では、ひとまず平成24年度のうちに成立した太陽光発電プロジェクトには、1キロワット時あたり42円を20年にわたり認める。 長期据置価格はプロジェクト成立年度ごとに見直すことになっていて、平成25年度に成立するプロジェクトについては、適用価格は未定とされてきた。) そもそも再生可能エネルギーの固定価格買取制度から、太陽光発電だけ外してしまえばいい、というのがわたしの本心だ。太陽光発電はコスト高で、技術も未熟だから。 しかし、現実社会ではさすがにそれだけでは通るまい。社会が納得する現実的なタマとして提案したいのが、1キロワット時あたり35円+消費税という買取価格レベル。 (わたしの本心としては 「33円+消費税」 あたりでもいいと思うが。) ■ 税制を変えて休耕地でやればいい ■ 40円を35円に引き下げる条件として、提案したいことがある。休耕地となっている農地で、太陽光発電を行うことを認めるのである。 現行のルールでは発電事業は 「工業」 にあたるので、農地で太陽光発電を行うと固定資産税が跳ね上がる。農地として支払う固定資産税が、工業用地の固定資産税へと変わるからだ。 経産省・農水省・財務省の間で調整を進めてほしい。休耕地で太陽光発電を行うときには、農地としての固定資産税のままでよいことにしてはどうか。 その代わり、減反などの名目で与えている補助金は無しとする。 要は、すべてを簡素化する。すると、解が見つかる。 太陽光発電には複雑なノウハウは要らない。米や蜜柑を作るよりずっと単純だ。 農家が遊ばせている土地で、かつかつの利益が出ればそれでいいではないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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