テーマ:政治について(20114)
カテゴリ:科学技術に驚く
JAXA (宇宙航空研究開発機構) が、NOx (窒素酸化物) の排出を現在より8割減らせるという画期的な基盤技術を開発した。
今後は三菱重工など国内メーカーとも協力して研究を進め、実用化にこぎつけたいということなのだが、信じられない悠長さにたまげた。 ≪排出規制強化の流れを先取りし、20年後をめどに 「エコエンジン」 として実用化を目指す≫ とある。 日経の3月12日17面の報道。 本気で実用化したいなら、最初に掲げる錦の御旗はまずは「5年後」ではないのか。 「20年後」と言われた途端、ほとんどの関係者は 「そのころ自分はこの世にいない、この会社にいない、この部署にいない」 と考える。 「20年後」 という数字は、技術研究にかかる人工(にんく)、つまり 「人数×日数」 を毎年得られるであろう予算 (=毎年の研究者人数) で割って出したものだろう。 担当研究者の発想としては、 「あぁ、これでわたくしも20年間ほそぼそと、仕事が確保できた」 ということなのだろうか。 技術の実用化よりも、研究者の雇用確保のほうが前面に出ている感じだ。 ほんとうに良い技術なら、人とカネを集中させて短期決戦すべきなのだが、エンジンの改良に20年かけるという発想に強烈な違和感を感じた。 日本経済新聞 平成25年3月12日17面 ≪「エコエンジン」 宇宙機構が技術 旅客機用実用化でNOx排出8割減 宇宙航空研究開発機構 (JAXA) は、大気汚染の原因となる窒素酸化物 (NOx) の排出を大幅に減らすジェットエンジンの基盤技術を開発した。 旅客機用に実用化すれば、排出量を現在より8割減らせる。 今後、三菱重工業など国内航空機エンジンメーカーに協力を呼びかけて研究を進めて、出力や燃費などを実用レベルに引き上げる。 排出規制強化の流れを先取りし、20年後をめどに 「エコエンジン」 として実用化を目指す。 旅客機のジェットエンジンは圧縮した高温の空気に燃料を噴射して燃やす。 燃費をよくするために空気を強く圧縮すると温度が上がり、NOx の発生量が増える問題がある。 新技術は自動車などに使われる技術を応用した。 少ない燃料と空気をあらかじめ混ぜる「希薄予混合燃焼」方式を採用。燃料と空気を混ぜて混合気をつくるノズルを2つ組み合わせ、燃焼室に送り込んだ燃料の濃度を均一にし、今度が上がり過ぎないように工夫した。 …<中略>… 米ゼネラル・エレクトリック (GE) などは航空機エンジンの NOx 排出量技術を進め、希薄予混合燃焼方式のエンジンが B787 に採用された。 JAXA によると、新技術は NOx をさらに減らせるという。≫ GE のスピード感と JAXA のスピード感のちがいがそのまま、民と官の落差、米国と日本の落差を象徴しているのではないか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Mar 13, 2013 06:48:06 AM
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