カテゴリ:美術館・画廊メモ
アートフェア東京2013 (3月24日まで) で、相場るい児(あいば・るいじ)さんの茶道茶碗 「白沢(はくたく)茶碗」 を買った。15万円+税だった。
ことしは自分のキャッシュフローが厳しいので買うものは厳選しているのだが、この茶碗は買わないとずっと後悔するだろうと思ったのである。 山口県防府(ほうふ)市の 「おとまつ画廊」 さんのブースにて。 会場配布の 「月刊アートコレクターズ3月号特別企画 アートフェア東京2013完全ガイド」 の10ページに、この 「白沢茶碗」 をアップにした写真が掲載されている。 相場さんは昭和39年生まれ。 陶作品は猫又の根付(ねつけ)あり、九尾の狐の茶碗あり。おどろおどろしくも見えるが、根付の猫又の舌がひゅっと動くような細工をしてみたり、あそび心もたっぷりだ。 鮮やかな色づかいながら古色を帯びているのも心憎い。この古色をいいことに、「江戸時代の骨董だ」 と偽って高値で転売した悪者がいて相場さんは心を痛め、以来 作品には銘として 「R」 の文字を入れることにしたと、これは懇切な解説をしてくれた おとまつ画廊さんの話である。 さすがに猫又ものは面妖がすぎたが、白沢(はくたく)の顔には怪異ななかにも諧謔がある。対話ができる顔だ。買うことにした。 買うのを決めてから、おとまつ画廊さん曰く、白沢は邪気をはらうので江戸時代には白沢の工藝品を伴にする旅人もいたとか。こりゃまた、縁起がいいねぇ。 * カネに余裕があれば150万円はたいて在庫5セットを買い占めたのにと思ったのが、長谷川加奈さんの大判木版画7枚セットの 「親指姫シリーズ」 である。 やや年増にみえる親指姫と、擬人化された蛙や魚、モグラや燕などがからみあう。 色づかいがヴィヴィッドで、金箔・銀箔の使い方も手馴れている。 作家本人が刷りまでやったというから、新鮮な発想と高度な技を兼ね備えた、版画界の若き逸材と見た。 海外の記者が、アートフェアの紹介のためにと言って、長谷川加奈作品全7枚を撮影していったという。海外でもウケるだろうと、わたしも確信する。 昭和61年生まれ、京都造形藝術大 院修了のひと。 この大判版画の出来ばえからして、作品価値を客観的にみれば1枚でも30~50万円の値段をつけて誰もいぶからないはずだ。同世代の東京藝大 院修了の大坂秩加さんの作品なら、もっと高いだろう。 が、なんと京都・蔵丘洞(ぞうきゅうどう)さんは、発狂価格をつけた。大判木版画7枚に額を1つつけて、わずか30万円で販売だという。 エディションは10だ。すでに5セット出ていて、蔵丘洞さんに残るのは5セット。 わたしなら150万円で5セット全部買占め、1セットは手元におき、4セットを小出しに海外オークションに出して400万円儲けるところだ。 と、そんなカネの話はどうでもいいが、とにかくこの長谷川加奈さんには注目だ。 おどろおどろしたところもある版画のキャラとは異なりご本人はとてもかわいいひとだそうで、“寿退職” して次作が出ないと困るが、蔵丘洞さん曰く、ねばりづよい性格で既に次の作品シリーズにとりかかっているという。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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