テーマ:政治について(20112)
カテゴリ:ぼくの疑問符
「活断層」 を理由に環境省原子力規制委が今回決めたこと。平たく言えば、こうだ。
「今後は敦賀原発2号機の再稼働審査は門前払いだ。原発の直下に活断層が “無い” ことを事業者側が証明しない限り」。 理不尽だと思う。一般紙では報道されないが、海外専門家の調査では原子力規制委と異なる見解が示されている。 (「D-1」 の位置などは、一般紙でも図解があるので、そちらを参照いただきたい。) 『電気新聞』 平成25年5月22日1面 ≪敦賀、活断層判断できず 原電調査、第三者が評価 日本原子力発電の敦賀発電所2号機直下にある破砕帯 「D-1」 の評価に関し、地質学や地震工学などの専門家で構成される2つのレビューグループは5月21日、原電が現時点まで蓄積したデータを踏まえると、破砕帯は活断層とは判断できないとする見解を出した。 原子力規制委員会の有識者会合は先週、破砕帯は活断層との判断を下したが、レビュー組織の専門家は、判断するには 「情報が足りない」 (GNSサイエンス社のケルビン・ベリーマン氏) と指摘。断層調査の継続によるデータの一層の蓄積が必要との認識を示した。 レビューグループは、ノルウェーのコンサルティング会社であるスキャンドパワーが組織する 「TRM」 と、英国やニュージーランドなどの専門家が加わる 「IRG」。 2つのグループに所属する3人の専門家が都内で5月21日、レビューの中間結果を発表した。 原子力規制委員会の有識者会合の議論で焦点となったD-1破砕帯の活動性について、IRGに所属するベリーマン氏は、D-1トレンチで見つかった約12万~13万年前のものとされる美浜テフラを含む地層に 「全く断裂が見られない」 と指摘。 「近くの浦底断層は何度も動いていたが、(D-1破砕帯に) 副次的な活動性がないことが示された」 などと話した上で 「現時点で活断層という証拠は一切ない」 と結論付けた。 このほか、TRMに所属する確率論的リスク評価 (PRA) が専門のウッディー・エプシュタイン氏と、奥村晃史・広島大学教授 (地質学) もそれぞれ意見を述べた。奥村氏は 「現在までのデータに基づけば、原電のロジックは正しい」 と話した。 原電は敦賀破砕帯について海外の専門家からも幅広い意見を聞き、6月末にまとめる報告書に見解を反映させるために2グループにレビューを依頼。 専門家らは会合や敦賀発電所の視察を通じ、原電のデータを詳細に検証してきた。≫ これに対して、環境省原子力規制庁の官僚は 「黙殺」 の姿勢だ。 『日本経済新聞』 平成25年5月22日5面 ≪規制委の事務局である原子力規制庁の森本英香次長は5月21日の会見で、原電が依頼した海外専門家による第三者評価が 「議論に影響することはない」 と説明した。≫ かりに逆のことが起きたならと考える。 原発行政にたずさわる経産省資源エネ庁の官僚が専門家意見をいけしゃあしゃあと黙殺したら、一般紙はこれを血祭りにあげるはずだが。 環境省原子力規制委と規制庁は、敦賀2号機の活断層問題の判断をなぜこうまで拙速に行うのか。 ≪そもそも規制委は自前で調査も行わず、肝心のデータをすべて事業者に頼る。にもかかわらず調査未了のまま審議を打ち切り、事業者の主張を「データ不足」とはねつけた。 データがそろった段階で会合を開き、結論を出すのが筋だろう。≫ (電気新聞、平成25年5月16日1面、解説記事) 環境省のやり方は、おかしい。わたしが直観的に推測するのは、反原発官僚が自らの人事異動ないし退任前に何としても敦賀原発2号機にフタをしようとしている図式。 「無いこと」 を証明させようとする現行ルールも、おかしい。 ≪もう一つの疑問は 「活断層でないこと」 の立証責任をすべて事業者に押し付ける現行ルールの正当性だ。 あらゆる可能性が存在する自然科学の世界で、「ないこと」 を証明するのは難しく、事業者にとって極めて高いハードルになっている。 一方の規制側は、あまたある可能性の一つを示唆するだけで事業者を断罪できる。世界でも類をみないこのアンフェアな議論をどこまで続けるのか。≫ (電気新聞、平成25年5月16日1面、解説記事) 電気新聞の言っていることが正論だ。 もっとも、環境省にデータ調査を行うところまで義務付けると、環境省はこれさいわいと調査を引き伸ばし、いつまで経っても結論を出すまい。 ひたすら経産官僚憎しの、環境官僚のサボタージュである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 23, 2013 08:30:10 AM
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