カテゴリ:美術館・画廊メモ
この6月は、泉 幸男の企画するアートイベントが3つ、ほぼ同時開催となります。いずれも、うるさ型のわたしが自分でも見たくなる企画に仕上げました。ぜひお越しください。
ここ数年間のさまざまな出会いが、たまたま一気に結実しました。それぞれのイベントの由来も、あわせてご案内します。 ■ 朗読劇画 三島由紀夫篇 ■ http://www.actartcom.com/2013/roudokugekiga.html 朗読劇とライブペインティングが同時進行するイベントです。泉 幸男は、三島由紀夫作の戯曲 「卒塔婆小町」 の主役と 「大障碍」 の準主役を演じます。 日時: 6月22日(土)午後3~5時 場所: The Artcomplex Center of Tokyo 地下1階ミニステージ (自由席) http://www.gallerycomplex.com/access/index.html 料金: 無料 (カンパ歓迎) ▼ 星山耕太郎展 ▲ http://blog.kotarohoshiyama.com/ 朗読劇画上演会場の2階での展示です。 わたしが応援する30代の日本画家の、墨絵ポップ作品など8点の作品を展示するミニ個展。大規模展のなかにミニ・ブースを借りました。星山さんは武蔵野美大出身の絵師・デザイナー。 日時: 6月20日(木)~23日(日) (開催時間は、下のサイトでご確認ください) 場所: The Artcomplex Center of Tokyo 2階、ACT4 室 料金: 入場無料 (作品を買っていただけると、うれしいです) http://www.actartcom.com/2013/exhibitor.html ◆ 寺岡政美 「浮世絵激花」 ◆ http://www.masamiteraoka.com/print.html# (↑ ウェブページ上の作品をクリックすると拡大します) わたしがロサンゼルス出張中に行った美術展で作品に感銘を受けて以来の、メールのやりとりから生まれた企画展。 寺岡さんは昭和11年生まれ、ハワイ在住。現代浮世絵作品10点とポスターを展示します。 日時: 6月14日(金)~29日(土) 午前11時~夜7時 (日曜・月曜はお休みです) 場所: ギャラリー須知 (東京都中央区日本橋茅場町二丁目17-13 第二井上ビル2階) http://www.gallerysuchi.com/information/ 料金: 入場無料 (作品を買っていただけると、うれしいです) それぞれのイベントの由来を語っておきましょう。 ■ 朗読劇画 三島由紀夫篇 ■ 朗読劇。ふつうの演劇と同じように生き生きとセリフを読む。台本は、見ていい。役者の動きがないが、観客を飽きさせないよう音楽や効果音を入れる。 ラジオドラマのライブ版、みたいなものです。ドラマリーディングとも呼ばれます。 読者イベントでも 「杜子春」 をやったことがありますが、今回はさらに踏み込んで、三島由紀夫の短篇戯曲をふたつ。 発端は、わたしが属する美術コレクター団体 「美樂舎」 の懇親会で、 「いちど芝居というものをやってみたかったんだ」 という60代の北林憲次さんと意気投合してから。 ミニステージのある美術展会場を知っていたので、「そこでやったら?」 と即、考えた。 でも、ただの朗読劇ではアートとつながらない。どうしよう。 よし、ライブペインティングと合体させよう。朗読劇と同時進行で画家に即興画を描き上げてもらおうじゃないか。 ■ ひと集め ■ 朗読劇の役者陣は、わたしが通った北千住のドラマリーディング講習の参加者から、これぞという人たちに声を掛けました。 そして、わたしがあこがれる若手女優の岸田茜さんにも出演してもらうことにしました。ギャラはわたしのポケットマネー。でも、あこがれの女優と掛け合いができるなんて、素敵でしょ。 画家は、わたしが画廊を巡り歩くうちに知り合った東京藝大のひとにお願いしました。ところが5月になって都合が合わなくなりキャンセルに。 でも、インターネットの時代はすごい。フェースブックで呼びかけたら、即日、まさにぴったりの画家さんが名乗り出てくれたのです。石田真吾さん。ドタキャンの画家さんの友だちのまた友だちという、つながりでした。 描いた絵は、終了後に大きな画布から手ごろなサイズに切り取ってオークションにかけます。 北林憲次さんも、ご家族のつながりからピアノ演奏家を呼んできました。東京藝大出身の元田健太郎さん。業者にビデオも撮ってもらい、打ち上げパーティーでみんなが観て盛り上がろうね、と話がまとまりました。 ■ 当日のしつらえ ■ 場所は、現代美術展の会場です。いきおい、座席数が限られているので、大半のかたは立ち見になってしまいますが、美術展を徘徊しながら目と耳で楽しむアートの世界、というコンセプトです。 * ▼ 星山耕太郎展 ▲ いっぽう、その現代美術展会場の2階にも、ミニブースを借りました。コレクター団体 「美樂舎」 が一部屋をおさえ、そのスペースを数人で分割し、ミニ企画展をやるのです。 わたしは銀座一丁目の Gallery Q で出会って以来応援している星山耕太郎さんに声をかけました。 星山さんの個展で作家本人に 「あなたの作風でタロットカードのデザインをすると、きっとおもしろい」 と言ったら、つぎのグループ展でしっかり応えてくれて、タロットカードデザインの小ぶりな日本画を21点、描いてくれたのです。 うれしくて、そのうち8点を購入しました。今回、そのうちお気に入りの3点を非売品として出品します。 加えて、星山さんの新作、ポップな墨絵も5点。こちらは販売です。 ◆ 寺岡政美 「浮世絵激花」 ◆ 発端は平成23年12月。そのときのことをブログに書いています: http://plaza.rakuten.co.jp/yizumi/diary/201112190000/ 出張先のロサンゼルスの現代美術展で Masami Teraoka の作品を見ました。日本の現代アートをさんざん見てきたつもりなのに、聞いたことのない名前。 「この高い完成度はどうだ! 日本の美術界に紹介しなければ」 と思ったのでした。 インターネット時代なので、ホテルに戻って寺岡さんのホームページを探し、すぐにやりとりが始まりました。 「日本で個展が開かれればいいですね」 と、第三者目線でものを言っていたわたしは、いつしか自分が動いて寺岡さんの個展を開きたいと思うようになりました。 寺岡作品のエロスに注目すれば、エロチックアート専門の画廊を1週間レンタルすることで個展はすぐにひらけるな。 ◆ 森美術館でも ◆ ところが寺岡さんは、本格美術の企画画廊 (レンタルでない画廊) でやってほしいとの要望で、がぜんハードルが高くなりました。 これはという画廊に検討をおねがいして、2軒に断られ、3軒目が 「ギャラリー須知」。オーナーの須知吾朗さんが意気に感じて、これに乗ってくれました。 展示する作品を、わたしと須知さんが話し合って選ぶのは楽しい作業でしたが、寺岡さんが所属するサンフランシスコの画廊から来た空輸料の見積金額に愕然。いちじは開催をあきらめかけましたが、Federal Express を使うことで問題も解決しました。 企画を立ち上げたのは去年の秋でしたが、今年に入って森美術館の大規模な 「LOVE 展」 に、寺岡政美さんの 幅 3.5メートル、高さ2メートルの浮世絵大作が展示されることに! 絶妙のタイミングとなりました。「LOVE 展」 のオープニングのために寺岡さんも来日し、感激の対面、話は尽きませんでした。(森美術館「LOVE展」は、9月1日まで開催中です。) というわけで、3つの企画が奇しくも同時進行の、充実した6月です。ひとに楽しんでもらうことで自分も楽しむという発想が、支えている気がします。 ドラマリーディングもライブペインティングも、じつは極めて日本の伝統ド真ん中に通じていると、わたしは思っています。 福岡の財界人は、40代にもなれば小唄をたしなむのが流儀とされていて、わたしの勤務先の同僚も 「九州支社へ行ったら小唄を習え」 と言われながら送り出されます。 むかしは文壇の作家たちが出演する 「文士劇」 というのがありましたが、九州の財界人はいまも自ら歌舞伎の舞台に立つことも。そういうイベントを是とする文化があるのですね。 芝居を観るだけで収まらず、自ら演じてみる、その手段としてのドラマリーディングは、小唄をたしなむ文化の現代版ではないでしょうか。 酒の席で座興として文人が書や絵を墨でかく。そういう文化もありましたね。ライブペインティングは、その現代版なのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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