テーマ:政治について(20115)
カテゴリ:ぼくの疑問符
「モッタイナイ」の精神が世界的に称賛されたのは、いつのことだったろう。
いま日本でいちばんモッタイナイもの。それは再稼働を待つ原発である。 原発1基が動かず、代わりに火力発電所で石油や天然ガスを燃やすと、1日あたり、およそ2億円の余分な経費がかかる。安価なウラン燃料の代わりに、高価な石油や天然ガスを燃やすから。 ■ 原発1基で1日2億円 ■ きょう7月8日に、北海道から九州まで10基の原発の再稼働申請が出される。7月12日には、さらに九州の玄海原発2基の再稼働申請が加わり、合計12基となる。 審査するのは環境省原子力規制庁の80名の職員。「少なくとも半年程度かかる」と言っている (原子力規制庁・森本英香次長の5月31日記者会見発言)。 80名が3班に分かれての審査。審査作業が1日早まり12基の原発が1日早く再稼働するだけで、2億円×12基=24億円分の燃料費が節約できる。 その分だけ二酸化炭素の排出も減る。 海外の資源国へ支払う巨額のカネが国民経済へと回り、国民の福祉向上に役立ち、多くのいのちも救われるだろう。 6ヶ月かかるところを、環境省の80名に潤沢な残業代を支払って5ヶ月で審査が終わったとしよう。再稼働が30日、早まる。 24億円×30日 = 720億円 が、国民の福祉向上に役立つおカネとなる。 「時はカネなり」 を絵に描いたような世界だが、環境省にその認識があるだろうか。 ■ 環境省のおどろくべき視野の狭さ ■ 審査に手心を加えてくれなどと言っているのではない。環境省はいまや絶大な権力者なのだから、相応のコスト意識とスピード感をもって仕事をしてほしい、ということだ。 「環境省原子力規制委員会の使命は、環境と生命を守ることに特化すべきであり、それ以外の要素を規制委員会が考慮することはない」 とは、環境省原子力規制庁の森田 深 統括管理官の発言だ (電気新聞、平成25年6月11日報道)。 6月7日の敦賀市原子力発電所懇談会で、敦賀原発の廃炉を憂慮する敦賀商工会議所会頭が 「地元経済は疲弊、困惑している」 と発言したのに答えて森田統括管理官が述べた発言だが、環境省がそういう視野の狭い考え方で仕事をしてもらっては、皆が迷惑する。 ■ 「バース党排除」の論理 ■ フセイン後のイラクの占領統治が米国主導で行われたとき、大混乱に陥った。 官僚・職員がこぞってフセイン傘下のバース党に所属していたイラクで、占領統治は「バース党の排除」を旨として行われた。その結果、経験ある官僚・職員が軒並み排除されてしまい、イラク統治は大混乱となった。 同じことが、いま日本の原子力行政でも起きている。 従来、原子力に携わってきた経産省資源エネ庁や文部科学省の官僚・職員が排除され、しがらみがない (=素人の) 環境省の官僚・職員がこれにあたる。 かなうことなら名乗り出て、わたしも環境省で再稼働申請書類の読み込み・整理作業に加わりたいものだが。1ヶ月頑張れば、原発2基の再稼働を1日早めて、生涯賃金分くらいは日本経済に貢献できそうな気がする。 ■ 増員は来年4月以降だよ ■ 再稼働申請の審査時期が来ることは、昨年度から当然わかっていた。 だったら人数を増やしておけばいいのに、たった80名が今日から12万ページの再稼働申請書類と格闘する (原発1基分の申請書類が1万ページという)。 80名の仕事の仕上げを1日早めるだけで国民経済が24億円もトクをするとなれば、常識ある民間企業なら非常措置で追加人員をかき集めるだろう。 しかし環境省はどこまでも絵に描いたようなお役所仕事だ。 ≪今年度は80人であたるが、来年度は2倍以上に増やす。経験者や新卒の採用を進めるとともに、他省庁の審査経験者などを募る。≫ (日本経済新聞、平成25年6月22日5面) 来年3月末までは、テコでも増員はしないらしい。 ああ、モッタイナイ……と思うわたしって、間違ってますかね。 繰り返しになるが、審査に手心を加えよとは言っていない。厳格な審査も、急ぎようはあると言っているのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jul 8, 2013 09:47:49 PM
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