カテゴリ:ことばと文字
日本橋高島屋は6階の美術画廊のセンスがよく、昼休みに京橋駅から日本橋駅まで ひと駅を地下鉄に乗って、絵や陶藝をみる。
きのうも行って美術画廊は楽しかったが、地下1階の入り口のお嬢さんがたの挨拶と店内アナウンスに強い違和感を感じた。 「いらっしゃいませ。ようこそ」 一流のデパートだから、もちろん言い方は荘重なまでに丁寧である。挨拶ことばを目新しくしようと、若い担当者が考えたのだろう。 ところがこれが、気持ちが悪くなるくらい、いただけない。 想像してみてほしい。 あなたが若い社員で、会社の1階入り口でだいじな客の到来を今か今かと待っているとする。 ようやく来られた。 そのお客に向かって 「いらっしゃいませ。ようこそ」 とまで言って、「ようこそ」 で言葉を止めるだろうか。そこで止めたとしたら、ずいぶんと なれなれしい感じだ。 「いらっしゃいませ」 という丁寧レベルで始めた挨拶なら 「ようこそおいでくださいました」 まで言うものだろう。 「いらっしゃいませ」 という丁寧と 「ようこそ」 という省略形の落差に違和感がある。 日本橋高島屋の地下1階の入り口で 「いらっしゃいませ。ようこそ」 と言われて、 「あれ? 挨拶が変わったなぁ」 と首をかしげつつエスカレーターに乗ったら、聞こえてくる店内アナウンスでも、デパート独特の荘重丁寧モードで 「いらっしゃいませ。ようこそ」 と頻繁に挨拶がある。 この違和感をたとえて言えば 「お客さま、おはよう」 と挨拶されたときのような感じ。 「ようこそ」 で止めるのは、「おはよう」 のなれなれしさに近い。 場末の呑み屋の性格美人の店員さんや、キャバクラのつけまつげ嬢が明る~く 「いらっしゃいませェ。ようこそ~~」 と言う分には はなはだ結構だが、一流デパートがこれをやってはいけない。 趣旨を簡単に名刺に書いて、デパート1階にいたマネージャーに渡した。 夕方、会社に日本橋高島屋の 「教育担当」 の女性から電話があったので、趣旨を話したが、教育担当は歯切れが悪かった。おそらく高島屋のかなり上のレベルのひとが思いついて挨拶を “親しみやすく” しようとしたものと察せされた。 なにごとも、センスの問題だ。 「いらっしゃいませ。ようこそ」 を日本橋高島屋が続けるなら、ぼくが行くこともなくなるだろう。 改善案としては 「いらっしゃいませ」 だけにするか、 「いらっしゃいませ。ようこそおこしくださいました」 (入口の挨拶嬢のふりつけは、これ)、 「いらっしゃいませ。ようこそ高島屋へ」 (文章語っぽいが、ぞんざい省略の感じは消えるので、店内アナウンスには使える) というところだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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